綱引き大会と山笠祭り

屋外で囚人同士の綱引き大会が始まる。一対一で戦い、勝てば釈放される。石井と王は並んで座り、石井が「人はなぜ戦争するのか。自分の妻や子供を他国の男に強姦されたり殺されたりしないようにするためだ」と語っていると、王がブゥと放屁する。石井は思わず扇子で口元を覆う。ここでも花魁が周囲を練り歩く。

日本軍の研究者たちが、ワクチン開発に成功した。石井は「世界征服の計画はまた一歩前進した。近いうちに自由の女神、万里の長城、モスクワの赤の広場、エッフェル塔、日月の照らすところ、風雨の至るところ、ことごとく我が支配下となるであろう」と喜び、高笑いを浮かべる。

1945年7月2日、ハルピンの街で日本の伝統行事「山笠祭り」が行われ、「ホイサッ、ホイサッ」の掛け声とともに、ふんどし姿に法被を羽織った男たちが山笠を担いで街を練り歩いた。山笠祭りは、福岡・博多を代表する夏祭りだが、旧満州で行われていたかどうかは不明だ。

劇中では、山笠祭りで警備が手薄になった隙を突き、囚人たちは脱獄に成功。王は脱出中に731部隊の実験室を目の当たりにする。両腕を液体窒素に強制的に入れられる人、ガラス張りの冷凍庫で十字架に張り付けにされる人、磔にされて火炎放射器を当てられる人などだ。

ギャーッという断末魔の叫びが延々と流れ、おどろおどろしい映像が続く。遺体の山を焼却炉に入れる場面は、ナチスの強制収容所を連想させる。妊婦の囚人は開腹手術を強制され、腹から取り出された新生児には首元に桜の焼印が押される。

王たちは再び捕らえられ、野外で十字架に磔にされてしまう。巨大な丸穴を取り囲むように、何十本もの十字架が並ぶ。

そこへ「必勝」と書かれた日の丸の鉢巻を締めたふんどし姿の男たちがどこからともなく大量に現れ、巨大な丸穴の周りで正座する。ふんどし男たちは、真っ赤な防護服に身を包んだ者からペスト菌のワクチンを注射される。

心臓を手づかみにする日本兵

ペスト菌に感染したノミを集めた爆弾が気球に乗せられ、囚人たちの頭上で爆発する。混乱のなか、王は十字架の麻ひもを解いて逃げ出し、仲間たちを助けようとする。だが、ふんどし男たちは万感の表情で天皇陛下万歳をしているため、異変には気づかない。

「おおい! にげだー!」。脱走に気づくと、ふんどし男と囚人たちの間でプロレスのような取っ組み合いが始まった。両者互角の戦いをしていると、真っ白い防護服に身を包んだ日本兵たちが現れ、ライフルを乱射した。防護服姿の日本兵は、コロナ禍の医療従事者と瓜二つだ。火炎放射器も乱用され、大量の炎のなか囚人たちは巨大な丸穴へ追い落とされていく。

囚人たちは自らの名前を叫びながら互いに協力して仲間の少年を穴の外へと押し上げるが、少年は穴から這い上がった瞬間に日本兵に背中を撃たれ、再び穴の中へと落ちてしまう。絶望的なムードでクライマックスを迎え、場面が転換する。

玉音放送が流れるなか、花魁たちは施設外へと退避する。よく見ると、花魁の首元にも桜の焼き印が押されている。施設内では、心臓を手づかみにした日本兵が猟奇的な高笑いをする。血まみれの実験室では、日本兵が頭蓋骨に絵の具で色を塗り、開腹状態の妊婦や大量の胎児がホルマリン漬けにされ陳列される。

猟奇的なシーンが連続して気分が悪くなったところで終幕を迎え、大量の爆薬で施設は巨大な炎に包まれる。最後は石井四郎の「偽葬儀」が流れてエンドロールとなった。

エンドロールでは実際の資料映像や博物館の映像が流れ、現実と虚構の世界がないまぜとなる。反日映画では定番の演出だ。

反日映画は半永久的に作られる
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