とは言っても、手軽で技能がいらず、費用がかからない「不妊注射」は、良いことばかりではないかもしれません。

まず危惧されるのは、この注射は筋肉に打てば効果があることです。静脈注射とは異なり、訓練を受けていない素人が当てずっぽうに打っても、薬液は人体に注入され、筋細胞はAMHを生産するでしょう。ヒト用が開発されたら、厳重な管理かつ効能持続時間を短縮しておかないと、通りすがりや満員電車で女性に対する不妊無差別テロが起きる可能性があるかもしれません。

ペピン氏は最近、ヒトの避妊にAMHを応用する会社を共同設立しましたが、「ヒトの場合は遺伝子技術を使って体内で生産させるのではなく、ホルモンとして直接注射する」と説明します。ホルモンであれば一定期間で効果は消え、避妊状態から通常状態に戻せるからです。

人類の長い歴史の中で、女性は思いがけない妊娠によって人生計画の立て直しが強いられる場面が、男性よりも多くあったかもしれません。人生をコントロールできる手段が増えるのは喜ばしいことですが、個人や社会に対するリスクの評価と管理を万全にしてから世の中に出回ってほしいですね。

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