こう考えれば「親ガチャ」という言葉のズレもまた見えてくる。生まれの不平等を親のみに帰責するのは間違っている。問題は世代を超えて格差を再生産する社会の在り方自体だ。親たち自身もこの同じ社会で生まれ、育ち、生きてきたのだから。
建前と乖離した現実を前にして、「こんな社会で頑張っても仕方がない」と言う人もいれば、「社会のせいにせずに自分で努力しろ」と言う人もいるだろう。だが、どちらも社会の構造に手を付けない個々人の処世術のような話であって、生まれの恩恵を享受する一部の人にのみ都合のいい反応かもしれない。
結局のところ、この社会で生きる多くの人にとって、そしてこれから来る多くの子供たちにとって、社会的流動性の低さ、不平等を繰り返す社会は変えたほうがいい。現実の進捗がどうあれ、目的地は変わらないはずだ。
<本誌10月3日号掲載>
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