これも一つの分断だ。だが、この分断の「嘆き方」には少なくとも3パターンある。(1)レイシズムを軽視する人が多くいることが問題。(2)レイシズムを問題視する人が多くいることが問題。(3)レイシズムに対する見方が二分していることが問題。
注意すべきは、一見客観的な(3)の語り口だ。意図はともかく、「レイシズムを解決したい」といった声に対して抑制的に働き、元からあった非対称性を強化してしまうことすらある。より悪いことに、(3)の装いが実際には(2)の意図を持ってなされている場合もあるだろう。
重要なのは、分断があろうとなかろうと、人種差別のような非対称の構造は、被害を受けてきた側からの譲歩や歩み寄りによって解決すべき問題ではないということだ。この場合、問題は分断ではなく、非対称な権力の構図そのものである。
「分断」という言葉は曖昧であり、無色透明でもない。使用法への関心が、もっと必要だ。
<2020年12月8日号掲載>
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