生活保護受給者への冷淡さは、保守界隈に特徴的なものである。どちらかというと彼らよりもさらに思想的に先鋭的な「右翼」は、地方都市や農村地帯での土着的ネットワークに基づいており、村落共同体意識が強い。「右翼」が行う街宣活動等の集会も、地元の職能と密接に結びついている場合がある。
一方、ネット右翼をも含有する「保守界隈」は、これとは逆で大都市部における中小零細企業の経営者や大企業における中間管理職等がその大半を構成する。自力で社会的成功を一定程度収めてきた彼らには能力主義、―つまり「貧困は甘えで、努力次第で成功できる」という観念が強く、生活保護受給者に対して殊更冷酷である。高市氏のこの部分については、土着的な右翼ネットワークよりも、もっと都市的な保守界隈との共通言語を感ずるのである。
5.総論
というわけで高市早苗氏の政策・世界観を大まかにみてきた。これ以外にも憲法改正問題、外国人参政権、対アジア政策、対米政策、自衛隊増強案など見るべきところは多いものの、一応最も特徴的で、直近の『文藝春秋』『Hanada』『正論』に登場した政策や世界観を列挙し、分析を試みたものである。
2021年自民党総裁選の行方にあっては全くその行方が分からないところであるが、高市早苗氏を単に「保守」「ネット右翼」ないし「右翼」と括るにははみ出してしまいそうな微細なニュアンスの背景があることをお判りいただけたと思う。
※当記事はYahoo!ニュース個人からの転載です。
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