だが、率直に言って、上記のバイデン政権の規制改革の方向性は問題だ。

規制評価は数字で測定不能な概念を盛り込むことで形骸化が進むことになる。それは規制が与える便益と費用に関して客観的な評価を行うことを放棄し、主観な感情に基づく評価を実施することを求めるに等しいことだからだ。それは歴代の規制評価手法の改善に取り組んできた人々に対する侮辱と言っても良い愚行だ。実際、半年以上経てもその困難な要求に基づく規制改革案は何ら具体的に示されていない。

また、大統領令発令時の政治的な勢いとは対照的に、バイデン政権で規制改革を主導するはずの行政管理予算局長はいまだに任命されていない。バイデン大統領によるニーラ・タンデンの同局長への指名が上院で承認拒否されて以来、新たな局長候補はノミネートすらされていない。もちろん、その下で働くはず情報規制問題室の室長も指名・任命されていない。

その結果として、環境規制、GAFA規制、金融規制などの様々な規制に関する問題がクローズアップされる中、議会が承認した規制政策全体を取り扱う政府側の人物が不在であるという異常事態が生じている。バイデン政権は冷静な議論を避けるためにワザと政府ポストに空白を作っているのではないかとすら疑われる。

バイデン政権はこのまま何ら生産的な改革案が示すこともなく、40年間継続してきた米国の超党派の規制改善の歴史を終わらせる可能性があると言えるかもしれない。バイデン政権の今後の規制改革の取り組みに注視していきたいと思う。