フライドチキンの店や食堂などの生計維持型自営業を選択した多くの人は「売れなかった残りものは家族で食べればいい、60歳まで頑張れば高額ではないが公的年金ももらえるので何とか生活はできるだろう」というシンプルでポジティブな考えで店舗をオープンしただろう。しかしながら、世の中はそんなに甘くなかった。ソウル市の調査によると2019年現在の自営業者の5年生存率は25.7%に過ぎない。自営業者の生存率が低いのは、特定分野に店が集中し、供給が需要を上回っているからである。KB金融持主研究所の報告書によると、韓国の2019年2月時点のフライドチキンの店舗数は約8万7千店に達する。日本のコンビニ数5万5620店(2019年12月末)を大きく上回っている。平均的に4店舗のうち3店舗がつぶれて、失業者に転落した。雇用保険に加入していないので、失業しても失業給付もない。残るのはお店を開くために金融機関などから借りた借金のみである。

自営業者は任意的に雇用保険への加入が可能

韓国政府は自営業者の再就職や生活を支援する目的で2012年から自営業者も任意で雇用保険に加入することを許可している。自営業者が雇用保険に加入すると、雇用者と同じく雇用安定事業、職業能力開発事業、失業給付による支援が受けられる。加入対象は従業員がいないか従業員数が50人未満の事業主で、保険料率は2.25%と労働者の保険率1.6%(通常の保険料率は労働者0.8%、事業主0.8%)に比べて高く設定されている。保険料は雇用労働部長官が告示する7等級の「基準報酬」のうち、自営業者自らが選択した基準報酬に保険料率をかけて計算する。失業給付を受給するためには原則として1年以上の被保険者期間が必要で、廃業日から遡って6カ月間赤字が続いたこと、廃業日から遡って3カ月間の平均売上が前年の同じ期間に比べて20%以上減少したこと等の要件を満たす必要がある。この条件をクリアすると、選択した基準報酬の6割に該当する金額が失業給付として支給される。

自営業者の雇用保険料と給付額
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自営業者の雇用保険の加入期間別給付日数
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さらに、政府や自治体は零細自営業者に対して雇用保険の保険料を助成する制度をスタートした。中小企業ベンチャー部は2018年から従業員がいない自営業者のうち、「基準報酬」が1~4等級に該当する者に対して、保険料の30%~50%(1,2等級は50%、3,4等級は30%)を助成する制度を実施している。また、ソウル市も2019年から従業員がいない自営業者の雇用保険料を30%助成(最大3年間)する制度をスタートし、段階的に対象者を拡大している(2019年4千人、2020年8千人、2021年1万3千人、2020年2万人)。このように、ソウル市で自営業を営んでいる従業員がいない自営業者の場合、中小企業ベンチャー部の助成制度とソウル市の助成制度を合わせて、最大80%まで保険料の助成が受けられる。

モラルハザード対策も必要