それに、そもそも日本と韓国では戦略上の優先事項が異なる。

日本にとって重要な戦略課題は、①中国による安全保障上の脅威への対処、②北朝鮮核問題の解決、③日本とアジアの安全保障に対する米国の関与の確保、④自由貿易体制の強化だ。

韓国にとって優先順位の高い戦略課題は、①北朝鮮との和平合意、②中国による安全保障上の脅威への対処、③日本の北朝鮮に対する敵意の緩和および日本の軍事力増強の抑制、④自由貿易体制の強化である。

もし韓国の次期大統領が中国と北朝鮮の脅威について日米両国政府と共通の認識を持てば、日韓の協力が進展する可能性もある。

バイデンは、日韓両国との強固な関係をアメリカのアジア政策の礎石と位置付けている。実際、バイデンが大統領に就任した後、最初に対面で会談した外国首脳は菅、そして2人目が文だった。

アントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官も日韓の外相や防衛相との会談で、3カ国の協力関係の重要性を強調している。

いま日韓関係が冷え込んでいる根底には、選挙日程だけでなく、相互の根深い反感があるのは事実だ。しかし、両国の選挙が終われば、日韓が2国間と多国間で協力関係を築ける可能性は十分にある。

(※韓国は変わったのか――。本誌6月29日号「ファクトチェック 韓国ナゾ判決」特集では、次期大統領選が近づく韓国で相次いだ慰安婦問題・徴用工問題の「ナゾ判決」を検証。2021年の日韓関係を探った。木村幹・神戸大学教授ほか執筆)

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