ギンズバーグは後年、大学時代は男性が圧倒的に多い同級生を怒らせないように、自分の鋭い「知性」を抑制しなければならなかったと、折に触れて語っていた。

男性の場所を奪うつもりなのか。そう言われてきた彼女は、揺るぎない目的と、「昔ながらの」振る舞いを兼ね備えていた。

ただし、論理的思考の誤りには容赦しなかった。故アントニン・スカリア元最高裁判事は、ギンズバーグのことを「ばかげた議論をする弁護士を容易に捕まえて、骨をくわえた犬のように激しく揺さぶる」と評した。

ギンズバーグが犬と一緒に揺さぶった「骨」とは、彼女が法律の世界に入った頃には急進的と見なされていた考え──すなわち、性別に基づくあらゆる法的および文化的差別を、「才能と能力」にのみ基づく規範に置き換えることだ。

1956年、ハーバード大学ロースクールの同級生に陰で「ビッチ(あばずれ)」と呼ばれていたギンズバーグは、「小心者よりビッチのほうがいい」と返した。

彼女の後任をめぐり国を分断させている衝突は、かつてはアメリカ人の生活と法にとって急進的な変化とされ、彼女が生涯貫いてきた主張をめぐる新たな衝突でもある。それらの変化がなかったアメリカなど、現代のアメリカ人には想像もし得ない。

そして今、ギンズバーグのレガシーと後任をめぐる戦いは、アメリカの民主主義の基盤に、その継続性に、影響を与えようとしている。

<2020年10月6日号掲載>

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