そのトランプはパウエルの訃報を受けて、故人の墓に唾を吐き掛けるような声明を発表している。「イラク戦争で大失敗を犯したコリン・パウエルがフェイクニュース・メディアで美しく弔われているのを見るのは最高だ」。現時点で、24年の大統領選においてバイデン大統領を破る最有力候補と見なされているのはトランプだ。

私は「大統領になるために」と題した大学の授業の冒頭で、学生たちにこう話している──あなたがアメリカ大統領になりたいと思っているとすれば、私はあなたに大統領になってほしくない、と。

どうして、パウエルは根強い待望論に応えず、大統領選に出馬しなかったのか。最愛の妻が選挙戦の容赦ない中傷攻撃に巻き込まれたくないと言ったのだろうと、推測する人も多い。

私の推測は、大統領になるには素晴らしい人物過ぎたというものだ。パウエルは、選挙戦でどうしても強いられる妥協をよしとしなかったのではないか。

しかし、もしパウエルが決断していれば、いま私たちはこれほど分断が激しく、崩壊した世界に生きていなかっただろう。

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