<先月20日、ワシントンで「中国共産党、歴史との闘い」と題するシンポジウムが開催された。筑波大学名誉教授で中国に関する著書を多数もつ遠藤誉が登壇し、「毛沢東が日本軍と共謀していたという事実」について発表、「中国こそ正しい歴史と向き合うべき」と訴えた> (写真:米ワシントンのナショナル・プレス・クラブで講演する遠藤)

 シンポジウムが行われたのは、ホワイトハウスからほど近い「ナショナル・プレス・クラブ」、日本で言うところの「日本記者クラブ」だ。在米中国研究者やメディアを前に、遠藤はこう主張した。現在の習近平政権が強硬な対日政策を執るなか、習の基盤である中国共産党と「建国の父」と言われる毛沢東は、実は日本軍と共謀することで中華人民共和国を築き上げた――。

 講演は近著『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)に基づいた内容で、その中国語版は今年6月にアメリカでも発売されている。中国生まれの遠藤は84年の著書『チャーズ――出口なき大地』で自身のルーツと向き合いながら中国建国の闇に光を当て、話題を呼んだ。その遠藤が、今度は「毛沢東と中国共産党の虚構」を暴き、中国の人たちに伝えようとしている。遠藤がそこまでして大陸にメッセージを送るのは何故なのか。講演翌日、本誌・小暮聡子がワシントンで話を聞いた。

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ワシントンに駐在する世界中のジャーナリストが集まるナショナル・プレス・クラブ Satoko Kogure

――今回、ワシントンで講演した目的は

 今、中国の習近平政権は日中戦争では中国共産党こそが日本軍と勇猛果敢に戦ったと盛んに言っている。ところが中国共産党は実際には、抗日戦争で日本軍と戦ったどころかむしろ共謀していた。日中の「共謀」というよりは中国のスパイが日本側の外務省に接近し、蒋介石率いる国民党側の軍事情報を日本軍に高値で売りつけていた。そうやって国民党を弱体化させ、その暁には中国共産党、つまり毛沢東が天下を取ると。この目的のために、毛沢東は日本軍に停戦まで申し込んでいた。

【参考記事】毛沢東は日本軍と共謀していた――中共スパイ相関図

 毛沢東は戦後、「抗日戦争勝利記念日」というのを祝ったことがない。それは、自分が戦って勝ち取ったものではないと思っているからだ。毛沢東にとっての最大の敵は、国民党の蒋介石だった。日本軍と手を結ぼうと何をしようと、とにかく国民党軍をやっつけて自分が天下を取ることしか考えていなかった。毛沢東とは、そういうことをやった人物だった。

【参考記事】毛沢東は抗日戦勝記念を祝ったことがない

【参考記事】毛沢東は「南京大虐殺」を避けてきた

 だから、現在の中国共産党には対日強硬策などを言う資格はないと、私は思っている。中国は自分たちの歴史こそ直視すべきだ。そうすれば激しい対日強硬策には向かわないだろうし、日本でも反中感情が生まれたりしなくてすむ。虚構のなかで情報戦をやったり覇権を狙ったり、人民をだましたり言論弾圧をしたりということはすべきではない。日本に対してこんなにも強硬に歴史カードを突きつけてくるのであれば、自分たちの真実を見ましょうと。

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