<中国・杭州で開催されたG20サミットでは、20カ国の政治指導者のため"だけ"に盛大なショーが行われた。各国で放映され、日本でもニコ生で称賛のコメントが多く寄せられた。だが、リオ五輪閉会式のトーキョーショーと比べて、どちらが良かったかというと......> (記事の最後に、杭州G20記念ステージとリオ五輪トーキョーショーの動画あり)
「まるでオリンピックの開会式のようだ」
これは2016年9月4日夜のG20杭州サミット記念ステージを見ての率直な感想だ。演出は北京五輪の開会式と同じく、中国を代表する映画監督のチャン・イーモウ氏。交響楽団、合唱団、ダンサーあわせて500人弱が盛大なショーを見せた。杭州を代表する観光地・西湖の上にもうけられた水上ステージの後ろには鮮やかにライトアップされた古建築の姿。さらにはるか遠くの山々までイルミネーションで美しく飾られている。
この記念ステージは中国のテレビ各局で大々的に中継されたのはもちろんのこと、各国のテレビ局やYouTube、フェイスブックを通じて世界で放映された。日本でもニコニコ生放送で中継されたが、「お金かけすぎw」「中国すごすぎwww」と称賛のコメントが多く寄せられていた。元プロ・バレエダンサーの私、李小牧も、ステージの出来は素直に称賛したい。
ただ、残念な部分が2つある。第一には、このすばらしいショーを直接目にした一般市民がほぼいなかった点だ。記念ステージを見るどころか、700万の杭州市民の多くは市内にすらいなかった。警備の邪魔になるという理由で会社も学校も休みとされ、市外に旅行するよう促されたのだ。
【参考記事】華々しい杭州G20のウラで中国人の暮らしが破壊されている
そのため杭州から近い安徽省の黄山には10万人を超える旅行客が殺到。混雑が危険レベルに達したとしてケーブルカーのチケットが販売中止になるなど、大変な思いをしたようだ。旅行に行かなかった市民にも落とし穴が待っていた。街を歩けば検問と職務質問の嵐が待っている上にお店も軒並みお休み。食糧を買い込んで自宅に引きこもるしかなかったようだ。
国家の一大イベントなのだから少々の不便は仕方がないという考え方もあるだろうが、国家的イベントならばこそ記念ステージには一般市民も参加させるべきだった。わずか20カ国の政治指導者のため"だけ"に五輪開会式並みのビッグイベントを開く必要はないはずだ。
トーキョーショーは中国人も絶賛した
そしてもう1つ、記念ステージがどんなメッセージを持っているかが不明瞭だったことが残念だった。すさまじい練習量に裏打ちされたテクニック、莫大な資金が投じられたことはよくわかった。だが、中国の古典的名曲から始まり、民謡、愛国歌と並ぶ演目からは、世界に伝えるべき新しい中国像は感じられなかった。
杭州の記念ステージを見て思い出したのが、リオ五輪閉会式の"トーキョーショー"だ。このショーは世界に強烈なインパクトを与えた。「小池百合子都知事はド派手な着物で登場を!」との私の提案(コラム:李小牧の都知事選観察記、嵐を起こす「鉄娘子」に感服)が受け入れられたこともうれしかったが、それだけではない。