ダンスと音楽、そしてAR(拡張現実)などの最新技術が合わさった、テンポのいいステージが繰り広げられた。神社や富士山など日本の伝統と自然について取り上げながらも、東京の夜景やアニメ・ゲームなどポップな要素も盛り込んだ東京紹介VTRが最高の出来だったことは言うまでもない。そして、スーパーマリオ姿の安倍首相には世界中の人々が驚かされた。
「一国の首相がゲームのコスプレなんて!」という批判もあるようだ。私もスポーツは政治利用するべきではないと考えているので、マリオに扮したのが水泳の北島康介氏だったらもっと良かったのにとは思った。ただ、安倍マリオ登場時のスタジアムの熱狂、その後の世界の反応を見れば、トーキョーショーが成功だったことは間違いないだろう。たんに一過性のインパクトだけではなく、ショーによって日本が伝統文化と新しい文化を併せ持つ国であることが強烈に印象づけられると同時に、両者を融合して新しい日本を作っていくというメッセージも感じさせた。
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ほめすぎだと思われるだろうか? だが、トーキョーショーを見た中国の知人の多くは、元・中国人の私以上に絶賛している。やはり日本はクリエイティブな国だ、東京五輪が今から楽しみになった、と。杭州の記念ステージは「あんな古くさくて押しつけがましいショーは見ない」と無視した人も少なくないというのに。
45分間の長尺、500人のパフォーマー、そして莫大な予算を注ぎ込んだ杭州の記念ステージ。わずか8分間、50人のパフォーマーでコンパクトに構成されたトーキョーショー。パフォーマーの技術力、ショーに費やした資金という意味では杭州に軍配が上がるのだろう。だが、国際社会にどれほどのインパクトを残したか、どんなメッセージを伝えられたかという点ではトーキョーショーが上回っていた。
「日本は外交下手、いつも中国にしてやられている」というイメージを持っている人が多いようだが、少なくともトーキョーショーを見るかぎり、そのセンスはなかなかどうして捨てたものではない。