彼のツイッター(@salman_alodah)をみると、9月9日を最後に更新されなくなっており、このころ何か起きたことがわかる。アワド・カルニーも同様であり、9月7日が最後のツイートだ(@awadalqarni)。いずれも、最後のほうのツイートから逮捕間近といった不穏な空気を読み取ることはできず、突然拘束された可能性が高い。
なお、この逮捕については西側メディアや人権団体、反サウジ系メディアでは大きく報じられているが、サウジアラビア国内メディアでは具体的な報道はほとんどない。9月12日付サウジアラビア国営通信(SPA)は、今年7月に新たに設立されたばかりの国家安全保障庁が、外国勢力のために反サウジの諜報活動を行っていたグループを逮捕したと報じているぐらいである。
非サウジ・メディアで囁かれている容疑は2点に集約できる。一つは、彼らが譲位をよく思っていなかったこと、もう一つはカタル危機で、サウジアラビア支持を明確にしなかったことである。ただし、これらははっきりそうだと断定できない。何しろ彼らはこの2点についてツイッターやその他の媒体でほとんど何もいっていなかったからだ。
最初の点は、サウジ国内の知識人が公的な場で発言できるようなものではそもそもない。2点目については、たとえばMbSとカタルのタミーム首長の電話会談が明らかになったとき、オウダはツイッターで期待を示唆したとされている。しかし、サウジ側はこの報道直後にカタルの報道ぶりを激しく非難しはじめたので、対話自体が水泡に帰してしまった。
ただ、どのツイートが当局の逆鱗に触れたのかわたしは確認できなかった。アラビア語メディアでまことしやかに囁かれているのは下記のツイートの下線部分である。「アッラーフンマ・アッリフ・バイナ・クルービヒム」と読み、日本語にすれば、「神よ、彼らの心を一つにしたまえ」となるだろう。
この言い回しは、クルアーンの句を下敷きにしたもので、説教などでも頻繁に用いられる。たしかに、ばらばらになったサウジアラビアやカタルの心が一つになって、仲良くなりますようにという祈りの意味にとれなくはない。

真相は今のところ不明だが、仮に報道が正しいとすると、いくらなんでもその程度でいきなり逮捕というのは、むしろサウジアラビアの評判を下げるだけだろう。オウダのツイッターには1430万人、カルニーのそれには220万人のフォロワーがいる。この事件を受け、フォロワーたちがすべて反体制になるとは思えないが、言論の封じ込めが逆効果になる可能性も否定できない。
と思っていたら、突然、サウジアラビアで女性の自動車の運転を許可するお触れが出た。ご存じのかたも多いと思うが、サウジアラビアでは女性には自動車の運転免許が交付されない。
これはもしや、知識人逮捕やイエメン戦争における民間人への被害拡大、数々の人権侵害などにもとづくサウジ批判キャンペーンを吹っ飛ばすための隠し玉か、といぶかってしまったが、これについてはまた稿をあらためて考えてみたい。
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