東南アジア最悪レベルの感染拡大、マレーシアで何が起きているのか

2021年6月9日(水)18時35分
セバスチャン・ストランジオ

首都クアラルンプールに5カ所の大規模接種会場を新設し、ワクチン接種も加速させる構えだ。英オックスフォード大学の研究者らが運営する「アワ・ワールド・イン・データ」によれば、5月29日時点で少なくとも1回のワクチン接種を受けた人は5月1日の2.7%から上昇したものの、人口の6%足らずだった。

感染の急拡大とワクチン接種の遅れで政権への圧力は増すだろう。アンワル元副首相ら野党指導者はムヒディンへの権力集中を批判し、ロックダウンとワクチン配分の具体的方法について州の裁量拡大を求めている。1月の非常事態宣言発令も政権の延命が目的ではないかと批判された。

与党連合内部の不満も再燃している。その急先鋒は与党・統一マレー国民組織(UMNO)のナジブ元首相だ。巨額の資金流用疑惑で失脚したが、ロックダウンは「中途半端」で多国籍企業には特別に操業継続を認めていると非難している。コロナ禍が長引けば、ナジブの返り咲きも現実味を帯びてきそうだ。

©2021 The Diplomat

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