日朝戦争なら韓国は北朝鮮の味方、日本はいつの間にか四面楚歌?

2019年11月7日(木)18時24分
トム・オコナー

独島は韓国が実効支配している島嶼群で、日本は竹島と呼び、国際社会では一般的にリアンクール岩礁と呼ばれている。この岩礁が浮かぶ海の名称も日韓の間でもめており、韓国は「東海」、日本は「日本海」の呼称を主張して譲らない。

この岩礁の領有権問題をはじめとして、日韓関係は今こじれにこじれている。特に問題になっているのは、第二次大戦中の日本による韓国人の扱いだ。韓国は、戦争中にアジアの植民地から強制的に連行された労働者に対し、日本企業は賠償責任を果たすべきだと主張している。一方の日本は、国民徴用令によって動員された労働者、いわゆる「徴用工」問題は、1965年に日韓基本条約と併せて締結された日韓請求権協定で解決済みとの立場をとっている。

日韓関係の悪化を狙いすましたように、ロシアと中国は今夏、日本海と東シナ海で初の共同飛行訓練を実施。このときロシア軍機がリアンクール岩礁上空を侵犯した疑いが持たれ、韓国、日本双方がスクランブル(緊急発進)をかけた。日韓は互いに相手国の対応を非難し、関係はさらに悪化。既に韓国に輸出規制を課していた日本は、さらに韓国を輸出優遇対象国から外し、これに怒った韓国は日韓秘密情報保護協定(GSOMIA)の破棄を決めた。

「日韓関係は、国交正常化以来最悪とも言えるレベルまで冷え込んでいる」──日本の安倍政権が、北朝鮮に対するアメリカと韓国の接近ぶりを慎重に見極めるなか、日本の外務省筋が本誌にこう語った。

北のミサイルはほぼ日本海に

一方、日朝関係も「最悪のレベル」にあると、北朝鮮外務省の報道官が述べたと、朝鮮中央通信が10 月に伝えている。安倍晋三首相は9月末に国連で行なった演説でも、金正恩と「直接向き合う」用意があると述べ、対話に意欲を見せているが、いまだに両者の会談は実現していない。

北朝鮮は、米韓合同演習に抗議して、ここ数カ月ミサイル発射を繰り返し、トランプ政権との非核化交渉を停滞させたが、米朝の協議は後退しつつもかろうじて続行されている。北朝鮮のミサイルの多くは日本海に向けて発射されており、安倍政権は厳重に抗議しているが、アメリカと韓国は見て見ぬ振りだ。

北朝鮮は韓国に対し、祖国統一に向けた対話はアメリカと日本抜きで「わが民族同士」で行うべきだとして、以前から日本と距離を置くよう働きかけてきた。安倍首相と文大統領は関係悪化のスパイラルを止めるため、今月4日訪問先のバンコクで10分ほど言葉を交わしたが、北朝鮮は日韓の歩み寄りを妨害するためかその翌日、日本が戦前と同様「侵略の準備」を進めているとして韓国に警戒を促す論評を発表した。新たな防衛計画を説明した日本の防衛白書の刊行を受けての論評だ。

「軍国主義に邁進する日本は、人類の真の敵であり、その攻撃的な牙を、人類の進歩と繁栄のために利用されるべき宇宙空間に、その攻撃的なカギ爪を突き立てる危険な敵国である」と、朝鮮中央通信の論説は述べている。

「国際社会は日本の反動勢力の犯罪行為を決して許してはならない。彼らは人間社会に深刻な大惨事を引き起こすためには手段を選ばない」

*調査報告のタイトルは「北東アジア情勢と韓国人の意識」。リーは2018年4月5日から25日、2019年4月5日から25日、9月17日から10月8日の3回に分けて、1000人に聞き取り調査を行った。誤差幅は3.1%で、信頼水準95%。

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