【写真特集】熱帯化するイタリアの田園

2021年7月17日(土)17時00分
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<シチリアでは今、農家が次々とマンゴー、パパイヤ、アボカドなどの熱帯作物へと栽培を切り替えている>

気候変動は南欧の農村風景にも劇的な変化をもたらしつつある。なかでもイタリアは平均気温の上昇や、ひょう、砂漠化、洪水によって農地が危険にさらされるとともに、栽培作物も変化している。

文豪ゲーテが「レモンの花が咲く地」とイタリア南部シチリア島を形容してから2世紀以上がたち、今日ではマンゴー、パパイヤ、アボカドが目立つ。「数年前にレモン栽培はやめた」と、同地の農協代表のサルバトーレ・マリノは言う。「ひどいカビで駄目になってしまったから、今はアボカドを作っている」

シチリアでは農家が次々と熱帯作物へと栽培を切り替えている。コーヒーやバナナを育てている生産者さえいる。一方、イタリア北部では高地でブドウが育つようになり、オリーブの大規模栽培も行われるようになった。

乾燥、高温気候に適したデュラム小麦の産地も北上しており、少ない水で栽培できるマメ類も干ばつが多い昨今は重宝される。そんな「熱帯イタリア」の今を捉えた。

シチリアの州都パレルモの家族経営の農場で育てたバナナを収穫し運搬する父娘。気温と湿度の上昇でバナナは彼らにとっての主力作物になりつつある


北部ボローニャの研究所で気候変動により頻発する嵐や洪水などの発生予測に役立てようと気象データの3D化を試みる応用物理学者エリック・パスコロ(左)


堤防の決壊によって水没した北部モデナの農場


北部ファエンツァで頻発するひょうや外来種の虫から作物を守るネットの具合をチェックする作物生産
研究センターの所員(左)と農場主


イタリアで最も乾燥する中部マレンマ低地で収穫されたヒヨコ豆の出来を確かめる技術者(左)。少ない水で栽培可能なヒヨコ豆はイタリアでの生産量が増えている

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