最新記事
印パ関係

インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するかも...日本人が知らない印パ間の深すぎる「確執」

Will India-Pakistan War Break Out? What To Know

2025年4月28日(月)18時55分
ジョーダン・キング、エリー・クック
インド各地では、22日に発生したテロ事件に対する抗議が行われている

インド各地では、22日に発生したテロ事件に対する抗議が行われている Faisal Bashir-Reuters

<カシミール地方で起こったテロで印パ関係が急速に悪化。事態がここまで悪化した背景には、長きにわたる、想像以上に根深い確執があった>

インド北部で起こった「虐殺」が核保有国同士の全面戦争に発展するかもしれない。

4月22日、イスラム過激派が、インドが実効支配する係争地ジャム・カシミール州の丘陵地帯の町パハルガムで、ヒンドゥー教巡礼者や観光客に向けて発砲、26人が死亡した。その後、パキスタン関連とされる武装勢力ラシュカレ・トイバの分派組織である「抵抗戦線」が犯行声明を発出した。

【画像】幸せだった新婚旅行が一転...テロに巻き込まれた夫、泣き崩れる妻


インド政府はこの攻撃についてパキスタンの責任を指摘し、「越境テロ」と非難。両国間の主要な陸路国境を閉鎖し、パキスタン人に対するビザ発給を停止、さらに外交官を除くすべてのパキスタン国民にインドからの国外退去を命じるなどの措置を講じた。

インドのナレンドラ・モディ首相は、今回のテロ事件の首謀者に対し「地の果てまで追い詰めて罰する」と宣言した。

一方、パキスタン側は関与を否定。同国のカワジャ・アーシフ国防相は英スカイニュースの取材に対し、インドが「偽旗作戦」で今回のテロ事件を「自作自演」したと主張した。

アーシフはインタビューで「インドによるいかなる行動にも、われわれはそれに応じた対応を取る」とインドに警告した。「もし全面攻撃などがあれば、当然全面戦争となるだろう。事態が悪化すれば、この対立は悲劇的な結果を招きかねない」

加えて、アーシフは世界、中でも「世界の大国を率いる存在」であるドナルド・トランプ米大統領に対し、事態を「理性的に収拾させる」よう介入を求めた。インドとパキスタンは両国とも核兵器を保有しているからだ。

「アメリカが介入しなければ、インドが動いた際、われわれも同様の行動をとらざるを得なくなる」

経営
「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑むウェルビーイング経営
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

タイ首相、カンボジアとの戦闘継続を表明

ワールド

ベラルーシ、平和賞受賞者や邦人ら123人釈放 米が

ワールド

アングル:ブラジルのコーヒー農家、気候変動でロブス

ワールド

アングル:ファッション業界に巣食う中国犯罪組織が抗
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 5
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 6
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 7
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 8
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 9
    「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑…
  • 10
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中