最新記事
貿易戦争

トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてきた3つの確実

DEALMAKER OR DESTROYER?

2025年4月17日(木)15時11分
サム・ポトリッキオ(本誌コラムニスト、ジョージタウン大学教授)
ドナルド・トランプ大統領

金融市場の大混乱後に一歩引いたトランプだが、90日後はどう出る? NATHAN HOWARDーREUTERS

<一方的な関税応酬(とその一時停止)によりマーケットは大きく揺れ、世界経済の不確実性は一段と増した。90日間の猶予期間が終わった時、『マッドマン』のご気分はいかに...>

アメリカの株式市場はこの4月、歴史上最も多くの富が吹き飛んだ2日間と、歴史上最も大きく株価が値上がりした1日を経験した。ドナルド・トランプ米大統領の関税政策を発端に、経済の不確実性が一挙に高まっている。

一連の相場の乱高下により、投資家が負った痛手はあまりに大きい。アメリカが貿易相手としての信用を完全に取り戻せる日は二度とやって来ないかもしれない。アメリカは想定外の行動を取りかねない国だ──そんな疑念を誰もが完全には振り払えなくなったのだ。


しかも、「トランプ関税」はロシアを利する可能性もある。ロシアのドミトリー・メドベージェフ前大統領は、トランプ関税によりロシアは全く打撃を被っていないが、アメリカの同盟国や友好国は途方に暮れている、と満足げに語っている。

トランプが新しい関税政策の詳細を発表したのは4月2日。全ての輸入品に一律で10%の基本関税を新たに課し、大きな対米貿易黒字を計上している国にはさらに追加で高率の「相互関税」を課すとしたのだ。

トランプはこれまで40年近く、アメリカの貿易赤字に並々ならぬ不満を抱いていて、関税という「魔法の杖」を振るうことでそれを解消できると考えている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ紛争は26年に終結、ロシア人の過半数が想

ワールド

米大使召喚は中ロの影響力拡大許す、民主議員がトラン

ワールド

ハマスが停戦違反と非難、ネタニヤフ首相 報復表明

ビジネス

ナイキ株5%高、アップルCEOが約300万ドル相当
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 8
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 9
    【投資信託】オルカンだけでいいの? 2025年の人気ラ…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中