最新記事
クルスク攻防

ロシア軍がクルスク奪還へ猛攻、ゼレンスキーの切り札が危機に

Ukraine Losing Its Trump Card as Russian Troops Enter Kursk Stronghold

2025年3月12日(水)20時56分
エリー・クック
クルスクの戦場のウクライナ兵

クルスクの戦場のウクライナ兵。ロシアが投入した北朝鮮軍部隊の第一派はウクライナ軍が退けた(2024年12月16日) Handout / Latin America News Agency via Reuters Connect

<アメリカ主導の和平交渉が続く中、ゼレンスキーはいよいよ数少ないカードを失うことになりそうだ>>

サウジアラビアでアメリカとウクライナの高官協議が行われているころ、ロシア軍はウクライナの越境攻撃で一部奪われた西部クルスク州で攻勢を続け、ウクライナ軍部隊が集結するスジャの町に入った、とロシアの情報筋が伝えた。

昨年8月、ウクライナ軍はウクライナ北東部スームィ州と国境を接するクルスク州に電撃的な越境攻撃を仕掛け、一部を占領した。このロシア領土は、将来の和平交渉の際、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の交渉の切り札になるはずだった。


 

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、数千人の北朝鮮軍部隊の支援を得て何とかクルスクからウクライナ軍を追い出そうとしたが、完全に撤退させることはできずにいた。だがここ数日は複数の集落を相次いで奪還し、スジャ周辺への攻撃も激化している。

ロシアがクルスクの支配を完全に取り戻せば、和平交渉におけるウクライナの立場は弱くなる。

2月末にドナルド・トランプ米大統領、ゼレンスキー、J・D・バンス米副大統領の間で行われた、今となっては有名な大統領執務室での口論で、トランプはいみじくもゼレンスキーにこう言った。「あなたは今、交渉のカードを何ももっていない」

日本
【イベント】国税庁が浅草で「伝統的酒造り」ユネスコ無形文化遺産登録1周年記念イベントを開催。インバウンド客も魅了し、試飲体験も盛況!
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏「プーチン氏を信頼せず」、勝利に米の

ワールド

イスラエルのソマリランド承認に安保理で懸念、ガザ住

ワールド

ロ、ウクライナで戦略的主導権 西側は認識すべき=ラ

ビジネス

日経平均は続落で寄り付く、米株安の流れ引き継ぐ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 5
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 6
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 7
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中