最新記事

コンプライアンス

東レ子会社が品質データ8年間改ざん 社内で発覚から1年以上公表せず

2017年11月28日(火)15時00分

11月28日、東レは、子会社の東レハイブリッドコードで品質データ数値の不正な書き換えがあったと発表した。写真は都内で2013年9月撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)

子会社で検査データを書き換える不正が発覚した東レ<3402.T>の日覚昭広社長は28日、記者会見を開き、「このような事態を招いてしまったことは誠に遺憾で、関係者の皆様にご迷惑・ご心配をおかけしたことを深くお詫びする」と陳謝した。ただ、書き換え後の数字については測定誤差や品質性能のバラつきなどを踏まえれば「全然問題のない数字だ」とも語り、安全性に問題がないことを強調した。

東レハイブリッドコード(THC)は同日、タイヤコードや自動車用ホース・ベルト用コードなどで、検査データを書き換える不正があったと発表した。製品を納入する際の品質検査で、顧客と取り決めた規格から外れたデータ数値を規格内に書き換えていたという。

書き換え件数は149件、対象顧客は13社。大半が日本企業だが、一部に韓国企業も含まれるという。米国企業は含まれていない。

東レでは、規格外となった書き換え製品について、規格値からのかい離はごくわずかであり、規格内製品と実質的な差はないと説明。書き換えが原因で顧客に被害が発生した場合には、真摯かつ迅速に対応するとしている。

対象製品の売上高は約1.5億円。不正発覚を受け、キャンセルなどは発生していない。日覚社長は業績への影響について「(調査結果は)ほとんどは問題ないとなると思うが、たとえ問題があったとしても、それほど大きな額にはならない」と述べ、影響はないとの認識を示した。

不正な書き換えは2008年4月から2016年7月まで行われ、16年7月に問題が発覚した。その後、社内で調査を進めていたが、今年11月3日にネットにこの問題が書き込まれたことで、公表に踏み切った。

日覚社長は神戸製鋼所<5406.T>の品質不正問題やネットの書き込みがなれば公表しなかったのかと問われると「公表する予定はなかった」と説明。「法令違反や安全上問題がある、それが社会的に影響を及ぼすといった場合には公表するが、(今回の問題は)お客様との間の取り決めなので公表する必要はない」と強調した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米東部4州の知事、洋上風力発電事業停止の撤回求める

ワールド

24年の羽田衝突事故、運輸安全委が異例の2回目経過

ビジネス

エヌビディア、新興AI半導体が技術供与 推論分野強

ワールド

ホンジュラス大統領選、トランプ氏支持のアスフラ氏勝
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中