文字サイズ

山本雅也×世界のトビラを開けよう!

2013年08月21日
世界中のLCCに実際乗ってみたら。[Vol.1 セブ・パシフィック編]

印刷

日本人にとって、外国とは海外のこと。文字通り、海の外です。
日本は見事な島国なので、国を出るには必ず飛行機か船に乗らなければなりません。飛行機がなかったら、日本人は外国へ行くのにも一苦労。改めて飛行機について考えるとその偉大さに気付かされます。世界の島国国家は、国を挙げてライト兄弟の記念碑を建てるべきなのかもしれません。
 
今、世界中で飛行機に乗る人口が年々増え続けています。
まさしく人類大移動の世紀。地球史上、人間が最も移動している時代だと思います。渡り鳥もびっくりの総移動量です。ちなみに渡り鳥の中で最長総移動距離を誇るのは、キョクアジサシという小型の鳥で、グリーンランドと北極の間を蛇行して、一年間で約8万kmも移動するらしいです。ただ、今やキョクアジサシ以上に移動をする人間が増え始めていることは間違いありません。
 
飛ぶ鳥を落とす勢いとは、まさにこのこと。
実際、飛行機にぶつかって落っこちる渡り鳥も何羽かいることでしょう。航空工学における"翼"という構造は、鳥から着想を得たと言われていることもあり、空を飛んでいた先人(鳥だけど。)に対して、人としてだんだん申し訳ない気がしてきます。いやむしろ、感謝しなければなりませんね。
 
かつて旅の一番のネックは、航空券の価格の高さでした。
その問題を解決する試みをスタートさせたのが、LCCです。LCCとは、"Low Cost Career"の略称。機内食やアメニティなどのサービスを徹底的に省く、離着陸料の安い空港や時間帯を選ぶ、同型の航空機のみを取り扱って整備コスト下げる、などをして可能な限り価格を抑えた航空機のことを指します。
 
ビールもワインも有料。アイマスクやブランケットも有料。映画を楽しみたい人には、備え付けのディスプレイがない代わりに、人気タイトルがインストールされたiPadを貸してくれます。もちろん有料で。荷物を預けるのにもお金がかかります。その代わり、航空券がとにかく安く設定されているのです。
 
地球上を移動しながらKitchHikeを育てると決めた自分としては、これ以上なくお世話になるであろうLCC。というわけで、"世界中から注目されているLCCに実際に乗ってみたらシリーズ"をスタートさせたいと思います。
 
まずは、フィリピンを代表するLCC、セブ・パシフィック!
http://www.cebupacificair.com/
 
セブ・パシフィック
 
日本との航路は関西国際空港のみですが、アジアを安く移動しようと思ったら使わない手はありません。今回、僕が乗ったのは、下記の2便。価格は以下の通りです。
 
■仁川(韓国)-セブ(フィリピン)約18,200円
■マニラ(フィリピン)-台北(台湾)約5,800円
 
仁川(韓国)-セブ(フィリピン)間のチケット
 
マニラ-台北間の最安値は、なんと2,300円程度!破格すぎて不安になりますね。
※2013年4月時点の為替レート(フィリピンペソ→日本円)を適用しています。
 
片道チケットを手に入れやすいのも個人的には凄く好きです。乗り心地も特に悪くはありません。この価格で快適さや綺麗さを求めるのは酷というモノ。CAの対応もだいぶカジュアルで逆に接しやすく、ストレスは何もありませんでした。"移動する"というそもそもの目的に忠実に設計されていて、座席以外は、各自でカスタマイズしてくれというこのスタンス。DELLコンピュータや、SUBWAYの販売戦略に似ていますね。ユーザーニーズに誠実で清々しくなります。
 
カジュアルな雰囲気の客室内
 
どうやら世界は思ったよりも広く、思ったよりも近いようです。
フィリピンのボホール島で出会ったトライシクルの運転手との一幕。雑談交じりに、彼は男手ひとりで子供3人を育てていると言いました。奥さんは?と聞くと、妻は薬剤師でドバイに出稼ぎに行っているんだ、と答えました。
 
それを聞いて僕はあるニュースを思い出しました。
今年初めに、セブ・パシフィックがマニラ-ドバイ間の就航を2013年10月からスタートさせると発表したのです。しかも片道2万円程度で。今後は彼らのようなスタイルで生活するフィリピン人が増えることでしょう。
 
新しい拓かれた航路は、人々の人生に凄まじい影響を与えます。
世界中が凄いスピードで近くなってきているようです。LCCは、時間と距離をすっ飛ばしてくれる新しい感覚を教えてくれている気がするのです。

ページトップへ

Profile

山本 雅也(やまもと まさや)

1985年東京生まれ
早稲田大学卒業後、2008年に博報堂DYメディアパートナーズ入社。
雑誌局出版ビジネス部に所属し、出版社の持つあらゆるプロパティを活用した、新規ビジネス開発やクライアントソリューションの提案を行う。
2011年10月より、ソリューションデザイン局ソーシャルメディアマーケティング部 (現iメディア局ソーシャルメディアマーケティング部)に複属し、出版社のプロパ ティとソーシャルメディアを連携させた企画・ビジネススキームを考案。
2012年12月に博報堂DYメディアパートナーズを退社し、KitchHike共同創業者となる。

KitchHikeとは?

世界中の食卓で料理を提供したい人(COOK)とその料理を食べたい人(HIKER)をマッチングさせるオンラインプラットフォーム。
現在、日本/韓国/中国/タイ/マレーシア/フィリピン/インドネシア/トルコ/フランス/インド/アメリカなど、世界11カ国80の食卓が登録されています。(2013年6月20日時点)

いつもの料理に新しい価値を。日常をおもしろく。旅をおいしく。KitchHikeがこれからの時代にふさわしい“おいしい体験”を演出します。

MAGAZINE

特集:静かな戦争

2017-12・26号(12/19発売)

電磁パルス攻撃、音響兵器、細菌感染モスキート......。日常生活に入り込み壊滅的ダメージを与える見えない新兵器

  • 最新号の目次
  • 予約購読お申し込み
  • デジタル版