ニュース速報

ビジネス

中国製造業PMI、6月は50.9に上昇 世界的なコロナ感染拡大で輸出弱い

2020年06月30日(火)14時18分

 6月30日、中国国家統計局が発表した6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.9と、前月の50.6から上昇し、3カ月ぶりの高水準となった。写真は2018年12月、河北省の工場で撮影(2020年 ロイター)

[北京 30日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.9と、前月の50.6から上昇し、3カ月ぶりの高水準となった。市場予想(50.4)も上回った。

PMIは50が景況改善・悪化の分岐点となる。

中国では新型コロナウイルスの感染拡大を受けたロックダウン(都市封鎖)措置の解除後、景気回復が続いている。ただ、世界的なコロナ危機が需要を圧迫する中、輸出受注は弱いままだ。

PMIの上昇をけん引したのは生産の拡大加速で、生産指数は前月の53.2から53.9に上昇した。

新規受注の指数も前月の50.9から51.4に上昇、内需が回復している可能性が示された。非鉄金属、一般産業機器、電気機械を含む幅広い業種で改善が見られた。

一方、輸出受注の指数は42.6と、前月の35.3を上回ったものの、依然50の節目に届いておらず、減少傾向が続いた。

ノムラのアナリストは顧客向けノートで「3月から6月中旬にかけた力強い回復にもかかわらず、完全な景気回復にはまだほど遠いと考えている。中国当局が緩和スタンスを転換させるのは時期尚早だ」と指摘した。

国家統計局のZhao Qinghe氏は声明で、国内の小規模企業が大企業よりも深刻な打撃を受けていると指摘し、今後の見通しが引き続き不透明であると強調した。

「PMIは改善し、製造部門は順調に回復したが、不透明感が残っていることにも留意する必要がある」と指摘した。

<下振れ圧力>

ノムラが調査対象とする発表頻度が高い中国の経済指標の中で、電力生産や不動産販売、自動車販売などの最近の指標が相次いで予想を上回った。これを受けて同社は第2・四半期の国内総生産(GDP)成長率予想を1.2%から2.6%に引き上げた。

インフラをはじめとする支出の増額は年内の経済活動を押し上げるとみられる。それでもなお、一部のアナリストは新型コロナ流行を巡る不透明感を理由に、過度に楽観的になるべきではないと指摘する。

世界で新型コロナ感染者の増加が続く中、輸出需要は弱いままだ。これに加え、今月は北京市の食品卸売市場を起点にクラスター(感染者の集団)が発生し、懸念が強まった。

PMIで雇用指数は前月の49.4から49.1に低下、2カ月連続で製造業の雇用者数が減少した。

ホワタイ・セキュリティズのマクロ経済アナリスト、Yang Chang氏は「新規受注の増加とは対照的に雇用が縮小していることは、企業が短期的な需要回復に関して引き続き慎重になっていることを示している」と指摘した。

これとは別に公表された6月の非製造PMIは54.4で、前月の53.6から上昇、2019年11月以来7カ月ぶりの高水準となった。

ただ、建設業の指数は前月の60.8から59.8に低下しており、回復がまだら模様であることを物語っている。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スポット銀が最高値更新、初めて80ドル突破

ビジネス

先行きの利上げペース、「数カ月に一回」の声も=日銀

ワールド

米大統領とイスラエル首相、ガザ計画の次の段階を協議

ワールド

中国軍、30日に台湾周辺で実弾射撃訓練 戦闘即応態
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中