『アステイオン』本誌

2025/11月発売
vol103

特集:発信する日本文化──伝統と可能性

2025/11発売

日本の古典芸能や伝統工芸は、稽古人口の減少や後継者不足により少なからず危機に瀕している。逆に、海外からの日本文化に対する関心は、むしろ高まっている。半世紀ぶりに大阪・関西で開かれた万博は、日本文化の「過去と現在」「伝統と変化」「地域と世界」の関係を多角的に捉え、文化とは何かを問い直す場となった。本誌の特集「共有される日本文化」(81号、2014年)から約10年、国際発信の観点から「日本文化」を再考する。

目次

【特集】

  • <巻頭言>発信する日本文化──伝統と可能性佐伯順子
  • 丸い茶碗のなかの地球――茶道裏千家第十五代前家元 千玄室氏に聞く千 玄室+佐伯順子
  • 国際博覧会における日本文化――1970年から2025年を越えて橋爪紳也
  • サムライ文化の国際発信――ステレオタイプ的な歴史認識から史実に忠実な文化理解へフレデリック・クレインス
  • 和食と民俗神崎宣武
  • <コラム>日本料理の可能性村田吉弘
  • 日本音楽の本質とは桑原ゆう
  • いのちと文化をつなぐ使命――華道家元池坊・次期家元 池坊専好氏に聞く池坊専好+佐伯順子

【論考】

  • 野球と沖縄宮武実知子
  • 「新しい文化闘争」――国際政治史で見るドイツ主体性恢復への模索今野 元
  • 信頼――confidenceかtrustか白石 隆
  • 遊牧国家の過去と現在を訪ね歩く――風任せのモンゴルツアー実録張 競

【時評】

  • 植物になった女たち邵 丹
  • 所得移転による「経済効果」という幻想宇南山 卓
  • 産む女性と子どもの結びつき中 真生

【海外通信】

  • カラ・パニ詩学――インド系の人々のカリブ海思想への貢献中村 達
  • 戦没者遺骨収集の現場菊池誠一
  • 日常における弔い――忘れるともなく忘れること杉山由里子
  • 「ばかげている」から「受け入れがたい」へ――トランプ発言へのデンマークの反応高橋美野梨

【エッセイ】

  • 第三の文化植原 亮
  • 研究資料は誰のもの?渡辺 裕
  • 中西悟堂と私奥本大三郎
  • 日本の木造モダニズム藤森照信
  • あるマンガ家の夢里中満智子
  • 後継者は天に任せて通崎睦美
  • しがらみを抱きしめた美術品を誰が買うんですか?トイアンナ

【写真で読む研究レポート】

  • いま、沖縄演劇がアツい!日比野 啓
  • 西欧中世における能動的鑑賞態度――アルマ・クリスティ図像研究の立場から太田 泉フロランス

【書評対談】

  • 『シン・ニホン』から『「風の谷」という希望』へ安宅和人+土居丈朗

【シリーズ】

  • コレット的生き方――公教育とレスビアニスム鹿島 茂

【シンポジウム】

  • 山崎正和の未来――意識から感情へ三浦雅士
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