アステイオン

教育

大学の心臓を思い起こして──「文脈」の大切さ──

2017年06月30日(金)
奈倉有里(早稲田大学非常勤講師・2015、2016年度サントリー文化財団鳥井フェロー)

そして家路につきながら、講義の最初に田島先生がおっしゃった「文学部・人文学部・教養学部こそが大学の心臓であり魂である」という言葉が、非常に重く、同時に明るく輝く希望のように心に残っていることに気づいた。そうだ、先生は同時に「いま風当たりの強い分野」ともおっしゃっていた。我々はそれを日々実感しながら生きている。けれどもなにを弱気になっていたのだろう。その現実を前に、かくも鮮烈な講義で、魅せてくれる先生がいるのだ――「文脈」と「文学」と「社交性」が結びつき、それらを読み解くことによって強固な権威から自由になるという「大学の魂」を受け継ぎ、あんな風な生き生きとした講義で学生に熱狂を与え続けることができるとしたら――それは、いまようやく教壇に立ち始めた我々、次の世代の使命なのだと思う。

奈倉 有里(なぐら ゆり)
早稲田大学非常勤講師
2015、2016年度サントリー文化財団鳥井フェロー

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