<ニューヨークをベースに活動するベテラン写真家スティーブン・リール。最も力を注いでいるプロジェクトは、地下鉄シリーズとポートレート・シリーズだ>
情熱は、写真家にとってもっとも大切なことの1つだ。情熱がなければ、いくら才能があっても写真を撮り続けることはできない。目の前にチャンスが訪れても、確実に掴みとろうとする意気込みがなければ、あるいは決定的瞬間をその沸点まで執拗に追い求めようとする意志がなければ、写真は簡単に凡庸になってしまう。
今回紹介するのは、アイルランドのダブリン出身だが、ニューヨークをベースに活動しているスティーブン・リール。現在45歳だが、そんな情熱を持ち続けている写真家だ。27年間、ニューヨークで揉まれ続けてきた経験と感性を生かして、パーソナル・プロジェクトをインスタグラムで発表している。
リールが最も力を注いでいるプロジェクトは、ニューヨークの地下鉄シリーズである。シリーズには2種類あり、1つは"THROUGH THE LOOKING GLASS"(窓越しに)だ。ニューヨークの地下鉄のある路線に絞った、車両の窓越しに見える乗客のポートレイト・シリーズである。そのさまざまな顔を通して、ニューヨーカーの、ニューヨークそのものの鼓動を表そうとしている。
もう1つは"GHOSTS IN THE MACHINE"(マシーンの中の幽霊たち)。コンセプチュアルだ。通勤通学者たちの地下鉄での日常の動きをゴースト(幽霊)として捉えているのである。実験的でもある。三脚を立て、ピンホール・カメラ、長時間露光を用いて、あるいは古い8ミリカメラで撮影したモーション・フィルムをスティール写真として処理する。ちなみに、サウンドを入れたモーション・フィルムのプロジェクトにもなっている。
【参考記事】 NY音楽シーンの熱気を伝える、撮影者と被写体の信頼感