<国外では化石燃料プロジェクトからの脱却を進める一方、国内では石炭発電所の増設が進んでいる>

「環境への配慮」をうたっている中国の「一帯一路」経済圏構想が今年、提唱から10年を迎えた。1兆ドル規模のこの構想は、過去最も環境に優しい投資だ。

習近平(シー・チンピン)国家主席は新たな交易路を結ぶという夢を抱いているが、一方でこの構想は参加国に持続不可能な債務を負わせ、ソフトパワーの交渉材料として利用し、環境基準が低いと攻撃されてきた。

環境面の非難を受け、中国は世界の化石燃料プロジェクトから撤退し始めている。しかし、国内の状況は異なる。

中国は温暖化ガス排出量を2030年までにピークアウトさせ、60年までに実質ゼロにすると約束している。国外の一帯一路の石炭エネルギープロジェクトへの資金提供は今年ゼロになった。

しかし、中国国内では「石炭ゼロ」の流れが逆転している。今年上半期には37ギガワット規模の新規石炭火力発電所の建設が始動。52ギガワット規模の建設プロジェクトが承認され、41ギガワット規模の建設を新たに発表し、保留していた8ギガワット規模の建設を復活させた。

習の公約を脅かす新規プロジェクトの乱発

米エネルギー省によると、1ギガワットは石炭発電所1基分、風力タービン310基分、LED電球1億個分に相当する。中国では現在、243ギガワットの石炭火力発電設備の容量が承認または建設中だ。

フィンランドのシンクタンク、エネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)は最新の報告書で、現在の傾向が続けば、中国は排出量目標の達成に苦労すると指摘した。中国の石炭火力発電能力は22年の水準から23~33%増加する可能性があるという。

また、新規プロジェクトの乱発が、習の公約に基づく中国の石炭削減計画を脅かしていると述べている。

中国の公式政策は、クリーンエネルギーを電力網の「主力」とし、石炭は「補助的」な役割に移行すると約束。新たな石炭発電所は、大量発電の目的ではなく、電力網の安定と再生可能エネルギーの統合を支えるためだけに承認されるべきであるとしている。

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