220726p18_CKH_02.jpg
市場経済導入を率いた鄧小平は97年に死去。全土で人々が花をささげ最後の別れを告げた REUTERS

だがGDPは、その国の国力や暮らしの豊かさを測るのに必ずしも最適な物差しとは言えない。30年代初頭に中国は経済規模でアメリカと肩を並べるかもしれないが、1人当たりの国民所得では水をあけられたままだろう。

ちなみに20年のデータでは、中国の1人当たり国民所得はわずか1万400ドルで、アメリカ(6万3000ドル)の約6分の1だ。

30年の中国の人口は14億6000万人超と予想されている。中国が31年まで年平均5%の経済成長を達成し、31年にGDPでアメリカと並んだと仮定しても、1人当たり国民所得は1万9700ドルにしかならない。

対照的に、アメリカの人口は30年には3億5500万人程度になるとみられ、31年の1人当たり国民所得は8万2000ドルを少し超えたくらいになるだろう。中国の約4.2倍だ。

さらに重要なことに、中国がアメリカに経済規模で追い付いたところで、30年代になっても技術力の差は相当に大きいままだろう。

そのため、世界最大の経済大国という称号は手に入ったとしても、中国は世界最強どころか世界で最も豊かな経済大国にもなれない。その称号はアメリカのものであり続ける。

中国の指導部、特に習近平(シー・チンピン)国家主席は、今後10年間も年平均5%の成長を達成できるはずだなどと気楽に構えるべきではない。この先、成長の足を引っ張る数多くのマイナス要因が待っているからだ。

経済成長は株式投資と同じで、過去の実績から未来を予言することはできない。中国経済が過去に急成長を遂げたからといって、今後も同じ勢いで前進し続けられると思ったら大間違いだ。

可能な限り無難な予測をするとすれば、今後の中国経済は過去と比べてかなりパッとしなくなるだろう。90年代初頭以降の奇跡的な経済成長をもたらしたプラス要因がほぼ全て消えてしまったからだ。

何よりも、安い労働力が際限なく供給された時代はもう過去のものだ。90年に中国人の年齢の中央値はたった24.9歳で、人口の4分の3近くは農村部に住んでいた。

90年から10年にかけて都市部に移り住んだ2億~3億人の農村住民は、労働集約型工業を支える労働力となった。加えて、大量の人口が農村から都市に流入したことで、生産性が爆発的に上昇した。

これは農村部で彼らが携わっていた第1次産業より、都市部でははるかに生産性の高い仕事に就くことが多かったからだろう。また、農村部からの大量の人口流入は世界最大規模で最速の都市化を引き起こし、数十年間にわたる大型のインフラ開発や不動産のブームが起きた。

EUとの関係悪化は中国経済に大打撃