世界史においてグローバリズムが強まる時代と、ナショナリズムが強まる時代があるとすれば、それは振り子のように推移していくはずだ。冷戦終結直後にはグローバル化への期待が見られ、他方で現在はむしろそれへの政治的反発が強まり、多くの国でナショナリズムが復権している。実態としてのグローバル化が進むということと、人びとの意識を支配するイデオロギーとしてのグローバリズムが普及することは同じではない。

これからコロナ禍の影響が各国経済を深刻にむしばむことで、困難が増幅されたときに憎しみの感情が膨らみ、グローバリズムというイデオロギーに対して敵対的となる可能性がある。自らの職を奪い、自国の文化を破壊するものとして、それへと反発する感情が増幅されるであろう。だとすれば、国際協調はよりいっそう困難となる。

われわれは、実態としてのグローバル化が多くの領域で進展するなかで、反グローバリズムの感情により政治がますます動かされるという矛盾した困難な時代に突入することになるのだ。

<2020年9月1日号「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集より>

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国境を越えた人の往来が消えた。新型コロナウイルスの感染拡大が最も深刻化していた3月から4月にかけては、グローバルなサプライチェーン(原材料や部品の調達から製造、消費者の手に届くまでの流れのこと)が機能麻痺をした。

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