より基本的なポイントとして、北欧諸国は社会民主主義的な政策を導入する前に、既に豊かで平等な社会を築いていたことも忘れてはならない。例えば、北欧諸国の平均寿命と乳幼児死亡率の低さは、1970年の時点で既に世界の上位にあった。経済学者のアンソニー・バーンズ・アトキンソンらの論文によると、ノルウェーとスウェーデンにおける所得格差の大部分は、1970年代以降に生まれた。

むしろ現在の北欧諸国は、社会民主主義の欠点が明らかになるにつれて、政府の介入を縮小する方向に動いている。税金はまだ高いが、市場経済のルールが導入され、多くの国有企業が民営化され、社会保障は縮小されつつある。

北欧モデルの導入を唱える世界の人々は、実際の北欧の国々がどこに向かっているか、よく目を凝らして見たほうがいい。

From Foreign Policy Magazine

<本誌2019年7月30日号掲載>

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