従って北朝鮮に対する制裁と、南シナ海における航行の自由を維持するために、5カ国防衛協定の加盟国やアメリカなどの同盟国、さらには日本や韓国などの安全保障パートナー諸国との協力が今後も重要になる。

第2に、インド太平洋地域は世界経済の成長のエンジンであり、イギリスはその成長に便乗する必要がある。このことがオーストラリア、日本、韓国、シンガポール、ベトナムとの自由貿易協定交渉、さらには「包括的かつ先進的TPP協定(CPTPP)」の交渉につながる。

第3に、インド太平洋地域の防衛に関与するには、イギリスの海軍と先端軍事技術、さらには安全保障パートナーとしての「頼りがい」を世界にアピールする必要がある。そこで英政府が積極的に進めているのが武器取引だ。

ストックホルム国際平和研究所が発表した2013〜2017年の世界武器輸出国ランキングで、イギリスは6位に入った。2017年だけでもイギリスの武器輸出額は1130億ドルに上る。輸出先のトップ3はサウジアラビア、オマーン、インドネシアだ。2018年には対潜フリゲート艦9隻の調達契約260億ドル相当をオーストラリアと締結した。

かつて大英帝国の基礎となった植民地政策はあり得ないが、ブレグジット後のイギリスの世界戦略にも、歴史ある海軍の力が欠かせないようだ。

From thediplomat.com

<2019年2月12日号掲載>

※この記事は「袋小路の英国:EU離脱3つのシナリオ」特集より。詳しくは2019年2月12日号 「袋小路の英国:EU離脱3つのシナリオ」特集をご覧ください。
ブレグジット(イギリスのEU離脱)後のイギリスは、世界の舞台でどのような役割を果たすべきか――。テリーザ・メイ首相ら英政権の閣僚たちは、かなり前からこの問題を検討していたらしい。そして運命の国民投票の数カ月後に、メイとボリス・ジョンソン外相(当時)が示したのが「グローバル・ブリテン」構想だ。
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