[3日 ロイター] - 南米ベネズエラの暫定政権はトランプ米大統領の支持を受けて企業に有利となる改革に動いているものの、世界の投資家は依然として同国での契約締結に慎重な姿勢を崩していない。ロイターが取材した民間セクターの投資検討に詳しい12人の関係者が明らかにした。
ベネズエラは石油、海運、医薬品、化学品といった多岐にわたる分野で外資を呼び込もうとしているが、投資家が司法制度に不信感を抱いているため思うように進んでいない。投資事業者6社と助言会社のメンバー6人の話では、紛争解決、司法の独立性、過去の資産接収、仲裁、および為替管理を巡る不透明感が原因で、潜在的な案件が停滞しているという。
投資事業者6社のうち3社は既にベネズエラで事業を展開しており、残りは海運や化学分野での機会を検討している段階だ。
5月に米南部テキサス州ヒューストンで開催された石油業界のイベントで、ベネズエラのエナオ石油相は、新しい石油法には国内外で紛争を解決するためのメカニズムが含まれていると強調した。だが投資家らは警戒を解いていない。
助言会社の弁護士は「現時点で法的確実性は存在しない。企業にとってのリスクは依然として残っている」と指摘する。
多くの投資家は、マドゥロ前大統領の時代に長年投資が不足していたベネズエラの港湾、電力網、水道などのインフラの劣悪な状態も懸念している。
スカイ・ドロップ・キャピタルのジェシー・コール社長は「現在直面している課題は、法律そのものよりもベネズエラで事業を行うためのロジスティクスにある」と語った。同社がグアンタ港で調査を行ったところ、冷蔵設備の不足、不安定な電力供給、水不足、そして信頼できる大型貨物物輸送サービスが皆無であることが分かったという。
法律事務所リーチ・ティシュマンの中南米責任者エステバン・エリアス氏は「多くの企業は本当に事業ができるかどうかを見極めている段階にある」と語り、大きな不安材料として過去の外資資産が接収された歴史を挙げて「かつて(接収が)起きたのであれば、再び起こり得るという懸念がある」と付け加えた。
トランプ氏は、抜本的な改革を通じて石油や鉱業部門を外資に迅速に開放し、国際的な大手生産者と契約を結び、首都カラカスに数十人の潜在的投資家を招いたロドリゲス暫定大統領を繰り返し称賛してきた。とはいえ、改革がどのように実行されるかについては疑問が残ると関係者は語る。
とりわけ国営石油会社PDVSAの従業員70人余りがマドゥロ政権時代からの汚職容疑で依然として収監されており、カナダの鉱山会社ゴールド・リザーブで働く弁護士も2023年から反逆罪の容疑で投獄されている事実が注目を集めている。
ベネズエラ当局は、投資家の懸念やPDVSA従業員とゴールド・リザーブの弁護士の拘束に関するコメント要請に応じなかった。
そのほかベネズエラ南部で鉱業プロジェクトに携わっているある幹部は、公式データの受け取りといった基本的な事務作業の遅れを指摘し、別の関係者は外国人幹部のビザ(査証)取得手続きが遅いと明かした。かつての工業拠点バレンシアの港湾セクターの関係者は、投資家の懸念事項として為替管理、輸入の困難さ、労働法などを挙げた。
20年前に遡る未解決の紛争も、ベネズエラが新規資本を呼び込む妨げとなっている。
米コノコフィリップスを含むエネルギー各社は、過去の資産接収を巡り、数十億ドル規模の仲裁裁定を勝ち取っている。ただカラカスで投資家との会議に出席したある関係者は、一部の企業はこの問題で「心的外傷後ストレス(PTSD)の状態だ」と言及した。