Parisa Hafezi
[ドバイ 1日 ロイター] - 関係筋やアナリストによると、イランは米国との交渉で、核開発計画に関する大幅な譲歩を避けつつ、高まる経済的圧力を緩和し、国内情勢を安定させるため、限定的な暫定合意を推進している。
4月初めには脆弱な停戦が成立したものの、米国とイスラエルの対イラン戦争開始から3カ月が経過する中、紛争は膠着(こうちゃく)状態に陥っている。米国のイラン港湾封鎖と、イランによるホルムズ海峡の支配が互いへの圧力を持続させ、経済的コストを押し上げる一方、戦闘が再燃するリスクは依然として解消されていない。
こうした背景から、双方は包括的な解決への期待を後退させている。その代わりに探っているのが、当局者が「暫定的な覚書」と表現する事実上の暫定合意だ。これは、イランの核活動を巡る核心的な争点を先送りしつつ、全面的な紛争への回帰を防ぐことを目的としている。
ワシントンの中東研究所シニアフェロー、アレックス・バタンカ氏は、イランの計算は戦場でのリスクよりも経済的圧力と不確実性によって形作られていると指摘。
「イラン指導部は時間が必ずしも味方ではないと理解している。彼らの計算は、たとえ限定的であっても対話の方が、終わりの見えない経済的消耗と不確実性の局面に入るよりも望ましいというもののようだ。そうした局面に入れば、国内を統治し対外的に影響力を行使する能力が次第に弱まりかねない」と述べた。
イラン指導部は米国と同様、国内からの圧力に直面している。長年の制裁、経済運営の失敗、紛争がインフレや通貨安、生活水準の急激な低下を招いてきた。
関係筋によると、こうした事情から、イランが暫定合意で短期的な資金流入を得ることは極めて重要という。経済を回し、当面の圧力を和らげ、社会不安の再燃を防ぐことができるからだ。
また、ホルムズ海峡は依然としてイランの影響力の中核となっている。イラン体制内では交渉カードというより、持続的な戦略的資産と見なす傾向が強まっている。
関係筋によると、イランが影響力を維持しつつホルムズ海峡を再開させる取り決めであれば、海峡に対するイランの影響力は損なわれず、海運が回復する一方で、こうした安定性が政治交渉に結びつけられたままとなる。
ある関係筋は、限定的な合意であれば、イランが米政府の要求に屈することなく、事実上、戦前の状況を回復できると指摘。「戦争の開始により、トランプ米大統領はイランに海峡支配という贈り物を与えた」と述べた。