先日、2度目のワクチンを打ってきた。
今回も手順は前回と同じで(1度目の接種の様子はこちらの記事をどうぞ)、違っていたのは、すでに確認済みのアレルギーの問診や副反応の説明が手短になったことぐらい。相変わらず効率がよく、その場にいる人はみんなフレンドリーだった。打ったワクチンは前回と同じアストラゼネカで、今回は副反応はほぼなし。注射を打った部分がほんの少し、小学校のインフルエンザ注射の後ぐらいには重くなったというだけだった。
和やかな雰囲気ながら、接種会場に行くと、やはり自分たちがコロナ禍にいることを肌で感じた。注射を打ってくれたベテラン風の女性に「最近ますます忙しいんでしょう?」と話しかけると、「そうねぇ、会場が開いてる時間は長くなったわね。みんながんばってるわー」と明るい返事。さらに「どうもありがとう。手伝えなくて申し訳ないけど」と返した時の「こちらこそありがとう。一緒にがんばりましょうね」という言葉に励まされた。みんなで協力して乗り越えるというのを改めて思い出す。
この会場では徒歩の人には接種後にアレルギー反応を見る待機の時間が免除されるので、建物の中にいたのは、ちょっとしたおしゃべりも含めてたったの7分。なんでも時間のかかる英国でこんなに効率よくものごとが進むことに改めて驚いた。やればできるのだ、この国は(つまり、ふだんはやらないだけなのだ!)。

さて、ワクチンを2度打った後は何ができるのか。イングランドでは5月からワクチン接種証明、いわゆる「ワクチンパスポート」を発行している(実際には「vaccine record(ワクチン記録)」と呼ばれる)。GP(かかりつけ医)に登録している13歳以上の国内在住者が対象だが、実際には今の時点でこれを使う機会はほとんどない。英国内の公共施設や店に入るにはまったく不要だし、外国から到着する旅行者にはワクチン接種証明よりも検査の陰性証明を求める国がほとんどだからだ。だから特に必要はないのだけれど、興味もあって取ってみることにした。
取得の方法は、(1) スマホやタブレットでNHS(国民保健サービス)のアプリを使う、(2) NHSのウェブサイトを使う、(3) 119に電話する、の3種類。119はコロナウィルス関連の情報を提供しているNHSの専用電話だ。ここで手続きすると紙の証明書が発行されるので、主にスマホやインターネットを使わない人が対象のようだ。イスラエルで早々に導入されたワクチンパスポート制度ではアプリが主流と聞いたので、今回はスマホでNHSのアプリを使ってみることにした。
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まずアプリをダウンロードして登録する。ふだんあまり用のないNHS番号が手元になくても登録できるように工夫されていて、途中まではさくさく進む。ただし、このアプリはNHSに保存される個人情報のデータともつながるので、後半は本格的な本人確認が求められる。まずはパスポートや運転免許など写真付き証明書の写真、さらにはその場で表示された数字を読み上げる動画を送るのだが、どちらもアプリの指示に従うだけで簡単に撮影でき、あっけないほどぱっと送れてしまった。最近のアプリはこんなこともできるのか! 技術に疎いわたしは、正直なところ少し怖くなったほどだ。
ちなみに動画を送るのは、動いている姿で本人かどうかを判断するためだそう。音読の代わりに数字を書いて提示する方法も選べるようになっていて、声が出ない人への配慮も感じられた。さすが医療機関のアプリだ。
登録が済むと「確認には7日程度かかります」というメッセージが出る。が、わたしの場合は10分後には確認完了の連絡がきたので、早速ログインしてみた。最初のページに氏名、生年月日、NHS番号が示されて、その下にいくつかの項目が並んでいる。その項目のひとつ、Covid-19 vaccine record(コロナワクチン記録)をクリックして表示されるのが接種証明だ。書かれているのは2回のワクチン接種の日付、ワクチンのメーカー名、バッチ番号だけで、バーコードやQRコードはない。
本当は接種証明の画面の写真を載せようと思っていたのだけど、会場で記入される「予約カード」でさえすでに偽造品が売買されているとよく聞くので、やめておくことにした。わたしのようなIT出遅れ組には想像がつかないことを難なくこなす人がいるかもしれないので。代わりと言ってはなんだが、すでに偽造されているらしい予約カードの写真をどうぞ。これは公式の接種証明にはならないとNHSのサイトにはっきり書いてあるので問題なさそうだ。

ワクチン接種証明が保存されるこのNHSのアプリ、今はコロナ関連を優先しているのか、他の機能はまだまだ開発中なのだけど、緊急時で仕方がないということで。セキュリティー面では、画面を少し離れただけでログインし直すシステムになっていたりして、慎重な対策が取られているように思える。そうでなければ、その辺のパブや美術館に個人情報が簡単に漏れてしまいかねない。
ちょっと興味がわいて試してみたら、このアプリはNHSのウェブサイトにもつながっていることがわかった。同じパスワードでウェブサイトにもログインすることができたのだ。ウェブサイトからはQRコードのついた証明書を印刷することもできるが、コードの有効期間は2週間なので、印刷するのはあくまで必要になった時の方がよさそうだ。
先ほども書いたように、まだこの「ワクチンパスポート」を使う場はほとんどない。予定どおりイングランドが検査の陰性証明の情報を追加したらこれから必要になるかもしれないが、ワクチン接種が進んで感染者数が激減し、行動制限もパスポート制度も廃止されたイスラエルの例もあるので、まだわからない。イングランドでは、英国全体では、これからどうなっていくだろう。