『ミッション:インポッシブル』シリーズや第3弾の製作が発表されたばかりの『トップガン』などで命知らずのスタントを披露してきたトムの変貌ぶりに、「タブーを破り、“アクションスター”という型から逃れようとするのは素晴らしいことだ」「これはトム・クルーズにとって初のオスカー受賞になるか、あるいはこの10年間で最も奇妙な失敗作になるかのどちらかだろう」など様々なリアクションが寄せられている。

作品の完成に9年もの歳月を費やし、クルーズとの交渉は7年間にも及んだというイニャリトゥ監督は、特別映像の公開を前にトムと共に登壇。「このキャラクターを演じるには、また別の種類の恐れ知らずさが必要だ。彼にとって最も挑戦的で、綱渡りのような役」「私はまったく心の準備ができていなかった」と話し、監督自らもトムの役作りに驚かされたと打ち明けた。

自ら引き起こした混乱を収拾しようとする狂気に満ちた主人公を演じたトムも、「ディガー・ロックウェルのブーツを履けるようになるまで、40年かかった」と話し、新たな挑戦は容易ではなかったことを認めている。

そのトムはイベント終了後にX(旧ツイッター)にイニャリトゥ監督とのツーショットを投稿して「10月にこの映画を世界中の人々に届け、映画界にとって特別な年となるこの一年の一翼を担えることを心待ちにしています!」と綴っており、小太りハゲ頭の中年オヤジのビジュアルで世間を驚かせた映画『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』以来の強烈キャラクターで悲願のオスカー像を手にすることができるのか、ファンの期待も高まっている。

[筆者]
千歳香奈子
北海道・札幌市出身。1992年に渡米し、カリフォルニア州サンタモニカ大学で写真を学ぶ。96年アトランタ五輪の取材アシスタントとして日刊スポーツ新聞社アトランタ支局に勤務。ロサンゼルス支局、東京本社勤務を経て99年から2025年後半までロサンゼルスを拠点にハリウッドスターら著名人へのインタビューや映画、エンターテイメント情報等を取材、執筆。現在は札幌を拠点に海外エンタメ情報を発信している。著書に『ハリウッド・セレブ』(学研新書)。

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