<異色の政治家が牽引する新興政党が総選挙で圧勝、長年続いた既得権政治の打破に期待が高まる>

ネパールの新興政党、国民独立党(RSP)が不可能を可能にした。その立役者はラッパーから政治家に転身したバレンドラ・シャー(35)だ。

ネパール下院は小選挙区選出の165議席と比例代表の110議席で構成される。この制度は小規模政党に有利で、議会が分裂しやすいため、単一政党の過半数獲得はあり得ないというのが通説だった。

だがシャーの登場で、そんな常識は吹き飛んだ。3月5日に実施された総選挙で、RSPは27年ぶりの単独過半数だけでなく、憲法改正に必要な3分の2に迫る182議席を獲得した。

総選挙が行われた背景には、昨年9月のZ世代の蜂起がある。特権階級の腐敗に怒りを募らせた10~20代の若者が抗議デモに結集し、政治エリートにノーを突き付けたのだ。SNSの利用を制限した政府の対応も火に油を注いだ。

政府がデモ隊を武力で弾圧し、77人が死亡すると政権批判が噴出。K・P・シャルマ・オリ首相は辞任に追い込まれた。

その後、元最高裁長官のスシラ・カルキの下で暫定政権が発足。6カ月以内の選挙実施を約束し、何とか実現にこぎ着けた。

ただし、この選挙結果をRSPという組織そのものの勝利と見なすのは正確ではない。前代未聞の追い風を生んだのは、昨年末にRSPに加わったシャーの圧倒的な人気だ。

選挙前の世論調査も、それを裏付けている。RSPに投票すると答えた人の大半は、自身の選挙区で誰が同党の候補者かさえ知らなかった。

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