それ以前の問題として、現政権のコア支持者であるMAGA派は、強い信念として「アメリカ・ファースト」の立場から、他国の政権交代に関与することに「強く反対する」という姿勢があります。統合参謀本部議長が指摘するように、大規模攻撃の結果、多くの米兵が犠牲となれば、MAGA派から一斉に抗議の声が上がる可能性があります。

今回の一般教書演説では、とりあえず物価問題との対決など、国内における経済対策を最大のテーマとして見据える姿勢が示されました。表現はトランプ流であり、少々誇大であったり、自分に有利なように内容を変えたりしていました。それでもアフォーダビリティ(生活費を収入で賄えるかという不安)が主要課題という姿勢にぶれはありませんでした。

仮にですが、政権が物価高問題に向かうのではなく、イランとの対決に話題を振るようになれば、それは政権にとっての命取りになる、そう考えれば軽率に大規模作戦へ進む危険性は少ないとも考えられます。

そうではあるのですが、仮にウクライナ和平が成立してロシア産の原油が国際市場に出回るようになると原油価格が下がります。これに加えて、イランとの問題が平和的に解決して、更にイラン産の原油まで出回るようでは、米国の石油産業には極めて不利な状況になります。トランプ政権としてはイランの問題が平和的に解決できるとしても、そう簡単には進めない事情もありそうです。

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