「JRのこのアイデアは、多くの無名な移民たちこそがニューヨークを形成している、ということを表現しています。活気のあるニューヨークという街を表現するメモリアルで野心的なカバーをつくることができました」

 この巨大な作品は日の出とともに完成し、夕暮れ後の午後9時半には消えていった。『ニューヨークタイムズマガジン』のオンライン版ではこの作品の1日を動画で追いかけている。日が昇ると巨大な移民エルマーの上には周りのビル群が影を落とす。エルマーの上を歩く無数のニューヨーカーたち、その多くはきっと彼の存在には気づいていないだろう。

 ニューヨーカーと呼ばれるにはどのくらいこの街にいるべきなのか? 1年? 10年? いや1日という人もいる。巨大なエルマーは1日しかこの街には存在しなかったが、多くの読者の心に記憶されたに違いない。そしてエルマー本人もまた、ニューヨークのどこかを今日も歩いている。

(Text:市川暁子)


『Pen BOOKS 名作の100年 グラフィックの天才たち。』

 ペン編集部 編

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