ピープルへのインタビュー掲載は、彼女のマネジャーの要請によるものだった。アイクとの関係を断ち切り、ソロ歌手としてキャリアを築くためには、彼女が離婚について自分の口から語る必要があると、マネジャーは考えていた。

『アイ、ティナ』が出版される2年前、84年にターナーが45歳で発表したアルバム『プライヴェート・ダンサー』は500万枚を突破。シングル「愛の魔力(Whatʼs Love Got to Do With It)」は最大のヒット曲となり、彼女はビルボード総合チャート1位を獲得した最年長の女性ソロアーティストとなった。

それから四半世紀、ターナーは世界で最も成功したライブパフォーマーであり続けた。09年の引退ツアーは100万人以上を動員。1億3000万ドル超の興行収入を上げた。

現在81歳。人間離れした元気さは健在だが、本人も新しい夫アーウィン・バックも、芸能生活を終える準備はできていると語っている。

作品の終盤、『プライヴェート・ダンサー』に収録された「ヘルプ!」のライブ映像が長時間映し出される。ビートルズの名曲から隠れたブルースの要素を抽出して強調し、何千回も聞いたことがある曲を新鮮に耳に響かせる。変幻自在の見事な再解釈だ。

『ティナ』は彼女の音楽性について、細かく説明する必要はない。言葉の助けがなくても、ティナ・ターナーの素晴らしさはパフォーマンスを見るだけで十分に理解できる。

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