ディラン以外で影響を受けたのは、ザ・クラッシュとクリーデンス・クリアウォーター・リバイバル、そしてビーチ・ボーイズ。それだけに16年にブルックリンでビーチ・ボーイズのリーダー、ブライアン・ウィルソンの『ペット・サウンズ』50周年アニバーサリーツアーの前座を務めたことは節目になった。

コシアルスとグリムベルゲンはバックステージでの事件を振り返って笑い転げる。2人はキース・リチャーズを見掛けて一緒に写真を撮り、それをフェイスブックにアップ。ところが実はリチャーズにそっくりな別人で、グリムベルゲンによれば「全然知らない奴だった!」。

初期のPR写真で、メンバーは赤と黒の卓球のラケットを手にポーズを取っていた。そこで今回は女優スーザン・サランドンが共同経営するマンハッタンの卓球バーでインタビューした。ツアー中はよく卓球をするという。音楽フェスティバル中の暇つぶしにはぴったりらしい(イギリスのグラストンベリーフェスティバルでは、ツアーマネジャーの虫垂が破裂して卓球どころではなかったが)。

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「ニューヨーカーに愛を」

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ANDREW BENGE-REDFERNS/GETTY IMAGE

卓球をしながら聞いたツアーの裏話には、超気持ち悪い男たちも登場。みんな爆笑していたが、男女差別が横行する音楽界を女の子4人組で渡っていくのがいかに大変か、彼女たちの隠れた本音も感じられた。

それでも総じて、アメリカの観客はスペインより好意的だという。アメリカのライオット・ガルルル・ムーブメント(芸術活動によって草の根のフェミニズムを広げる運動)と女性パンクロックの歴史に関係があるのではないかと、ペローテは言う。

「スペインのほうがうんと遅れてる。やってることがリスペクトされるまでに時間がかかる。世間が私たちに求める条件を満たさなくちゃいけない。いいミュージシャンだとか、相当練習を積んでるとか」

ステージを盛り上げるこつも心得ている。今年1月、ブルックリンの込み合うクラブで、筆者はそれを目の当たりにした。「ニューヨーカーはすごく反応がいい」と、コシアルスは言う。「愛に飢えてる感じ。愛なら私たちがいくらでもあげる」

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