世界的な貿易摩擦によって圧迫された外需を巡って激しい争奪戦が発生。それが企業の利益を圧迫し、輸出量が増えても工場出荷価格は下落している。そして企業によるコスト削減のしわ寄せを最も大きく被っているのが労働者だ。

張さんが勤めているような国有企業もコスト削減の圧力を受けている。銀行は当局から融資拡大を求められ、金融システムの一部で不良債権が急増している。

不均衡な経済構造は、輸出産業を優遇して消費を後回しにする政策の所産だ。経済学者は以前から中国政府に対して、教育や医療といった内需中心の分野への支援に舵を切り、福祉の充実などを通じて家計消費の喚起に動くよう求め、さもなければ下半期に景気が減速するリスクがあると警告してきた。

コンファレンス・ボード(CB)アジアの上級エコノミスト、マックス・ツェングライン氏は、中国経済は、製造業は強いが消費が弱い「二重速度経済」で、この2つは密接に関連していると指摘する。「収益性の悪化やデフレ圧力といった現在の経済的課題の一部は、主に製造業やハイテク分野における継続的な生産能力拡大が原因だ」と分析。米国との貿易戦争で今起きていることが、結局は中国国内の問題として跳ね返ってきているという。

<所得にしわ寄せ>

中国南部・広西チワン族自治区の人口200万人強の都市、崇左。教師の黄さん(28)はこの2、3カ月、勤務先の学校から給与をもらっていない。学校は自治体からの資金が届くのを待っている。自治区は多額の債務を抱えている。

「我慢するしかない。辞める勇気はない」「物乞いになったような気分」