韓国政府は、今般の健康保険の保障性強化対策の実施により、2015年現在63.4%である健康保険の保障率を2022年には70%水準まで引き上げることを目標としている。健康保険の保障率(以下、保障率)とは、健康保険の被保険者が支出する医療費総額のうち、公的医療保険が負担する比率である。
韓国政府が目指している保障率70%に対して市民団体の「参与連帯」は、OECD加盟国の公的医療保険の保障率が平均81%であることと比べると、韓国政府の目標値は適正な数値とは評価し難く、健康保険に対する国庫支援を拡大するなどの積極的な財政拡大政策を実施し、より高い保障率を提示すべきだと提言している。
但し、公的医療保険による保障率は、各国の医療制度が異なるために、直接的に比較することは難しい。従って、国際比較のためには、国民医療費に占める公的医療費の割合を見た方がより望ましい。OECDのHealth Data 2019によると、OECD36ヵ国の国民医療費に占める公的医療費の割合は、2017年時点では平均71%で、韓国の57%を大きく上回っている。韓国の公的医療保険による保障率が低いことがうかがえる。
この結果を踏まえると、今後、文在寅ケアの実施などにより保障性をより強化する必要がある。問題は財源だ。今後高齢化率が上昇すると、国民医療費は急速に増加することになり、韓国政府の財政的な負担は現在より大きくなるだろう。韓国の高齢化率は2018年に高齢社会の基準である14%を超えてから早いスピードで上昇し、2065年には42.5%で、同時点の日本の高齢化率38.4%を上回ると推計されている。
実際、最近韓国の医療費は速いスピードで増加している。韓国保健社会研究院が2018年に発表した報告書によると、2005年から2015年の間の韓国の年平均医療費増加率は6.8%で、OECD平均2.1%を大きく上回り、OECD加盟国の中で最も高いことが明らかになった。
「文在寅ケア」に対する評価は?
では、実施されてから2年が経過した現在、「文在寅ケア」はどう評価されているのだろうか?
「文在寅ケア」に対する評価は「肯定的な部分」と「否定的な部分」に分かれていると言えるだろう。「文在寅ケア」の最も評価できる部分は、保険外診療であったCTやMRI等が段階的に保険適用になることにより、国民の自己負担が減ったことである。国民健康公団が2018年16日に発表した資料によると、保障率は2017年の62.7%から2018年には63.8%に上がっている。また、重症患者に対する保障率も81.2%で2017年に比べて1.5ポイント上昇した。
■最近4年間における韓国の公的医療保険制度の保障率の推移
