2011年の東日本大震災では、崔は来日して被災地を取材したが、帰国前に東京に立ち寄った際、私が歌舞伎町で経営するレストラン「湖南菜館」を訪ねてくれた。これが初の出会いだ。以後、たびたび訪問してくれている。私がおごろうとしてもいつも断り、律儀に代金を支払う姿が印象的だった。

2017年の北京国際映画祭では、私の新宿区議選を描いたドキュメンタリー映画『選挙に出たい』(監督・邢菲)が出展されたが、崔はトークショーの司会を引き受けてくれた。彼ほどの人気司会者ならば、相場では50万元(約850万円)もの出演料が必要になるが、無料で引き受けてくれたのだった。

【参考記事】元・中国人の選挙映画『選挙に出たい』が日本人にウケた理由

トークショーで崔は「李が獲得したのは1018票。多くはないかもしれないが、選挙民が投じた本当の投票だ」と言った。この意味とはつまり、「中国にも人民代表の選挙があるが、最初から勝者が決まっている出来レースだ。本当の意味での投票ではない。李小牧の得たものこそが本当の投票だ」というもの。中国の政治体制に対する痛烈な皮肉だ。

こうした発言にはリスクが伴うが、その危険を冒してまで崔は私の映画を評価してくれたのだった。

なぜ崔の発言が許容されているのか

説明がやや長くなってきたが、日本の読者の皆さんはこの事件をあまりご存じでないだろうと思ってのこと。もう少しお付き合いいただきたい。私はこの脱税ゴシップは、ただのゴシップ事件ではないと思っている。

6月2日、私は在外華人に人気のユーチューブ番組「路徳訪談」に出演した。以前に本コラム(「中華文春砲」郭文貴と、29年成果なしの民主化運動家の違い)でも取り上げた「中国が最も恐れる男」郭文貴(クオ・ウエンコイ)が定期的に出演し、急速に注目を集めている番組だ。

ここで私は徹底的に崔援護の論陣を張った。無料でトークショーの司会を引き受けてくれたからではない。

そもそも、崔の批判で窮地に立たされているファン・ビンビンも知らぬ仲ではないのだ。私の人生をモチーフにしたジャッキー・チェン主演映画『新宿インシデント』(香港日本合作、2009年)の撮影時に、私は彼女と顔を合わせている。

私の妻役をあの絶世の美女が演じてくれたのだから感謝の気持ちしかないが、その義理以上に大事なことがある。インターネットを通じて不正を告発する――そんな崔の勇気に感動したのだ。中国国内に身を置きながらの告発はリスクが高い。それでも声を上げた崔を応援しないわけにはいかないではないか。

不正取り締まり「網経問政」