日中雪解けから反日デモ、そして「爆買い」。日中関係のトレンドに振りまわされた10年間だった。もっとも、世の中に変化があるのは当たり前のこと。少年時代に文化大革命を経験し、改革開放時代の深圳を経験し、日本でバブル崩壊を迎えた私は時代の変化には慣れているし、どんな激動があっても食らいついていく自信はある。

「未来の湖南料理」を先取りしていた

一方で、世の中が変化しても変わらないものもある。湖南菜館において、それは料理の味だ。我が故郷・湖南省の料理は激辛で有名だが、加えて油も塩もどっさり使った強烈な味が特徴だ。湖南菜館でもひたすら濃さを追求すれば、より本場に近づいたかもしれないが、私は素材の味を伝えることにこだわった。

この味だけは10年間変えていない。オープン当初には中国人のお客さんから「もっと油や塩を使って!」とも言われたが、頑として拒否してきた。

するとどうだろう。最近は中国でも健康志向が広がるなか、湖南省のレストランも次第に油や塩を減らすようになり、湖南菜館の味に近づいてきたのだ。どうやら我が湖南菜館は「未来の湖南料理」を先取りしていたようだ。

【参考記事】東京の中国料理店が「東北料理」ばかりなのはなぜか

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