カミカゼ・ドローンで戦況は一変 米軍「最強」の座も危うい

2021年4月7日(水)09時25分
ジャック・デッチ(フォーリン・ポリシー誌記者)

目指すは機動力のある部隊

「今以上のカモフラージュを考える必要がある」とショーは言う。「車両程度ならば隠せるが、戦車や足跡は隠せない。今後は戦術レベルで自分たちの動きや居場所、本部の場所をどうやって隠すかを考案しなければならない」

過去20年間、主にイラクでは簡易爆弾と戦うため、ヨーロッパでは情報戦を戦うために、特別な訓練を受けたアドバイザーを派遣してきたショーの部隊は、今年5月に解体される。これはエスパーが昨年決定した、組織改編の取り組みの一環だ。軍が分析した結果、同部隊のリソースと人員を大国相手の戦争への備えに活用すべきだと判断されたためだ。

現在ショーは、米陸軍訓練教義コマンドのポール・ファンク大将をはじめとする軍幹部に、自分たちの部隊がナゴルノカラバフの戦闘映像を研究して学んだことをブリーフィングしている。また彼は歴史家に、非対称戦連隊の歴史について書き記すようにも依頼している。

陸軍幹部らの注目は中東での戦いから、強硬姿勢を強める中国への対処に移りつつあるが、ショーは自分たちの部隊が20年に及ぶ任務から得た教訓が、今後も陸軍の精神に受け継がれていくことを願っている。

米陸軍は長年、静止位置における火力戦で優位性を維持してきた。だが今後は、居場所を検知されて攻撃されるのを回避しつつ、常に機動性のある部隊を実現するために、基本的な部分から見直しを行っていく必要があるだろう。

「生き残るために絶えず動いていなければならないとなると、食料や水、燃料の消費量も増える。睡眠の確保も必要だ」とショーは言う。「そのような落ち着かない環境下での作戦を、苦痛に感じない指揮官が必要になっていく」

From Foreign Policy Magazine

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