香港デモ隊と警察がもう暴力を止められない理由

2019年11月12日(火)18時25分
ジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌シニアエディター)

だがこうした譲歩は中国政府にとっては受け入れ難いだろうし、主導権を握っているのは彼らだ。中国の国営メディアでは、香港警察を英雄、デモ参加者たちを悪者として扱う報道が増えていて、その筋書きを変えるのは容易ではない。とはいえ、不可能ではないかもしれない。香港関連の報道をただやめれば、おおかた済む話だ。中国政府指導部がそう決めれば済むことだ。だが、中国の舵取りをしている政治家たちは、反体制派に対して説得で臨むより、軍事力を使う傾向をますます強めている。

中国政府は、10月から11月にかけて開催された第19期中央委員会第4回全体会議(四中全会)でまとめた方針に従う可能性が高そうだ。そこには、曖昧な表現だが「国家安全保障のための法制度と執行メカニズム」の導入が含まれている。戒厳令の実施もありうる。それを実施するのはほぼ間違いなく、中国軍ではなく、中国本土の支援を受けた香港警察だろう。これからも死者が出る可能性は大きい。

(翻訳:ガリレオ)

From Foreign Policy Magazine

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