豪中銀総裁、利上げのタイミング巡り独立性強調

2017年9月21日(木)17時23分

[シドニー 21日 ロイター] - 豪準備銀行(RBA、中央銀行)のロウ総裁は21日、世界的な金利の上昇が自動的にオーストラリアに波及することはないとし、政策当局者は高水準の家計債務に利上げが及ぼす影響を十分認識していると指摘した。

同総裁は豪西部パースでのイベントで、世界的な金利上昇は最終的にはオーストラリアに波及するだろうとした上で、豪中銀はそのタイミングについて判断する独立性を持っていると強調した。

世界の主要中銀は最近タカ派的な姿勢を示している。カナダ銀行(中銀)は今年に入ってすでに2回利上げを実施。米連邦準備理事会(FRB)も緩和縮小計画をおおむね堅持しており、市場は12月の利上げを見込む。

こうした中、ロウ総裁は、インフレ率はなお、RBAの目標である2─3%を下回っており、レンジの中間点に到達することは目先見込まれないと指摘。国内の金利は当面は上昇しないとの考えを示した。

「世界的な金利の上昇はそのうち、わわれれにも波及するだろう」と指摘。「ただし、そのタイミングを巡っては、柔軟性のある為替レートのおかげで、われわれはかなりの独立性を手にしている」と強調した。

ロウ総裁のコメントが伝わると、豪ドルはおよそ40ベーシスポイント(bp)下落、1豪ドル=0.7964米ドルを付けた。

コモンウェルス銀のエコノミスト、クリスティーナ・クリフトン氏は「将来の利上げへの地ならしをするような発言をするという観測があったが、金融政策の今後の道筋に関する手掛かりはほとんど示されなかった」と指摘。「例外は、世界的な緩和策巻き戻しの動きはオーストラリアと関わりがないと述べた部分で、政策正常化の流れに後れを取ることを気にしていないことを示唆しているのかもしれない」と述べた。

豪中銀の政策金利に関しては来年6月までに25ベーシスポイント(bp)引き上げられ、1.75%になる確率がほぼ完全に織り込まれている。また国内主要銀行2行は2018年下期に2回の利上げを予想している。

豪中銀が最後に25bpの利上げを実施したのは2010年11月で、このとき政策金利は4.75%となった。その後12回連続の利下げで現在は過去最低の1.50%。

ロウ総裁は、家計債務が高水準を維持しており、利上げが経済全体の支出に打撃を与えかねないことを認識していると述べた。

オーストラリアの家計債務は過去最高の水準に達しており、収入を上回るペースで拡大を続けている。総裁は「こうした状況下では、小さなショックが深刻な調整につながる可能性が懸念される」と指摘した。

*内容を追加しました。

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