焦点:トランプ氏の「口撃」、弾劾審議で孤立無援招く可能性

2017年8月19日(土)08時40分

[ワシントン 17日 ロイター] - トランプ米大統領が共和党上院議員らへの攻撃をエスカレートさせている。仮に将来、大統領選へのロシアの介入を巡ってトランプ氏の弾劾手続きが始まった場合、上院に友人がいるかどうかが審判の行方を大きく左右しそうだ。

弾劾手続きが行われる際、中心的役割を果たすことになる上院司法委員会の共和党議員11人のうち、半数以上がこれまでトランプ氏との口論に巻き込まれている。

トランプ氏は17日朝にツイッターで、リンゼー・グラム上院議員の言動を「売名」呼ばわりし、ジェフ・フレーク上院議員についても「有害だ」と攻撃した。2人とも司法委員会のメンバーだ。

チャック・グラスリー司法委員長は11日、トランプ大統領は弾劾手続きの際に守ってくれる友人がいないのではないか、との質問に対し、「(トランプ氏は)人格攻撃を止めるべきだ」と答えた。グラスリー氏自身は、過去の誹謗中傷とは無関係に公平に審判を下す方針を示した。

議会でトランプ氏の更迭が真剣に議論されているわけではない。大統領選へのロシアの関与を巡る捜査をトランプ氏が妨害した疑惑で、下院民主党議員2人が弾劾決議案を提出したが、上下院ともに共和党が議席過半数を制しており、決議案への支持は集まらなかった。

米国の憲法では、下院がまず弾劾手続きを可決した後に上院に送られ、上院が陪審として嫌疑を審査する。上院で3分の2以上の賛成が得られれば有罪と判断され、大統領は罷免される。

下院による大統領の弾劾勧告はこれまで、1868年のジョンソン氏、1998年のクリントン氏の2例があるが、いずれも上院での有罪審判を免れた。ただ、ニクソン元大統領はウォーターゲート事件を巡って弾劾がほぼ確実視され、1974年に辞任した。

クリントン元大統領が弾劾手続きを受けた際、ホワイトハウスと議会の連絡役を務めたチャールズ・ブライアン氏によると、議会に友人がいることは役に立つ。友人がいなければ、議員からホワイトハウスへの情報提供が得られず、大統領への攻撃は勢いを増す一方になる。

トランプ大統領はこれまでフレーク、グラム両氏以外にも、テッド・クルーズ上院議員など数々の共和党議員と口論を繰り広げてきた。

ブルッキングス研究所のシニアフェロー、エレーヌ・カマルク氏は、弾劾審判を左右する大きな要因が、少なくとも2つあると指摘。1つは嫌疑の深刻さであり、もう1つは「あなた(大統領)を信頼し、大統領職に留まれるよう助けようと思ってくれる友人がいるかどうかだ」と話した。

(Richard Cowan記者)

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