米当局が主要8行の北朝鮮資金差し押さえへ、取扱額800億円超

2017年7月8日(土)04時54分

[6日 ロイター] - 米捜査当局が欧米の大手銀行8行に対し、北朝鮮と取引がある企業などの資金を差し押さえる手続きを進めていることが、裁判所が公表した書類から明らかになった。

北朝鮮は4日、米アラスカ州を射程圏内に収めると見られる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行い、北朝鮮の核の脅威が一層高まっている。

6日、裁判所が明らかにした書類によると、首都ワシントンの連邦判事は今年5月、検察当局が求めていた差し押さえ令状の申請を許可した。

対象となる銀行は、米国のバンク・オブ・アメリカ 、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、シティグループ、JPモルガン・チェース、ウェルスファーゴと、欧州系のドイツ銀行、HSBC、スタンダード・チャータードの8行。

検察当局はこれら8行が2009年以降、北朝鮮と関係がある企業などの資金7億ドル(約800億円)以上を処理し、それはトランプ政権発足後も続いていたと指摘してる。

取引の一部は「丹東至誠金属材料公司」ほか4社の北朝鮮フロント企業に関係したものだった。検察当局は「北朝鮮軍や同国の兵器開発計画」などを利する、制裁逃れの取引であったと指摘している。

これら8行が意図的に制裁逃れに加担していたかについて、裁判所が公開した書類は言及していない。

丹東至誠金属材料公司が拠点を置く中国北東部の丹東は、北朝鮮との国境沿いに位置し、中朝貿易の大半がここで行われている。

2013年に中国で開催された業界関連会議向けの資料によると、丹東至誠金属材料公司は北朝鮮から約2億5000万ドル相当の無煙炭180万トンを輸入。その時期については明確にしていないが、同社は北朝鮮産石炭を中国鉄鋼大手に提供する大口供給業者の1つであるとみられている。

中国外務省の耿爽報道官は、この件に関する質問に対し、北朝鮮問題に関する国連の決議違反は、国内法に準じて対処されるとの立場をあらためて表明。司法管轄権の拡大には反対するとの立場を示した。

*内容を追加して再送します。

  • 1/1

今、あなたにオススメ

今、あなたにオススメ