IT企業に対する警察のデータ提出要請、簡素化目指す=欧州委員

2017年6月8日(木)15時57分

[ブリュッセル 8日 ロイター] - 欧州連合(EU)は、フェイスブックや米アルファベット傘下のグーグルなどの情報技術(IT)企業が保管する電子データについて、法執行機関によるデータ取得をより容易にしたい考え。

欧州では過去2年間にイスラム過激派の影響を受けた攻撃が多発しており、IT企業は警察の捜査を支援する圧力にさらされている。また法執行機関は、他のEU加盟国のクラウドに保管されているデータの取得にかかる時間の長さに不満を表明している。

欧州委員会のベラ・ヨウロバ委員(司法担当)によると、欧州委は8日に開かれるEUの司法相会合で、データ取得に関する将来的な法案のたたき台となる3つの案を提示する。

1つの案は、あるEU加盟国の法執行機関が、別の加盟国のITプロバイダーに対し、証拠となる電子データの提供を直接求めることを可能とする内容。

別の案で、ある加盟国の法執行機関が要請すれば、別の加盟国の企業はデータ提出を義務付けられる内容だという。

現時点では、例えばイタリアの警察がアイルランドに保管されている電子データを入手したい場合、まずアイルランド当局にデータ取得を依頼する必要がある。このプロセスには時間がかかり煩雑だとの批判が出ている。

ただ、IT業界では、他国に保管されたデータ提出の強制を政府に認めることに懸念の声があり、顧客のプライバシーの侵害やクラウドサービスが敬遠される可能性が指摘されている。

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